|
カテゴリ:蟹工船上映実行委員会
![]() 新潮文庫版37ページに出てくる周旋料。【挿絵は『マンガ蟹工船』(東銀座出版社)から】 ----------------------------------------------- 周旋屋(しゅうせんや)にだまされて、連れて来られた東京の学生上りは、こんな筈(はず) がなかった、とブツブツいっていた。 「独り寝だなんて、ウマイ事いいやがって! 」 「ちげえねえ、独り寝さ。ゴロ寝だもの。」 学生は十七、八人来ていた。 六十円を前借りすることに決めて、汽車賃、宿料、毛布、布団、それに周旋料を取られて、結局船へ来たときには、一人七、八円の借金(! ) になっていた。 それが始めて分ったとき、貨幣(かね) だと思って握っていたのが、枯葉であったより、もっと彼らはキョトンとしてしまった。 ―― 始め、彼らは青鬼、赤鬼の中に取り巻かれた亡者(もうじゃ) のように、漁夫の中に一かたまりに固まっていた。 ----------------------------------------------- 周旋料とは、雇主と求職者との仲立ち業者に支払う、仲立ち料金のこと。 『蟹工船』に出てくる周旋屋の実態は、労働者、農民、学生らを集めてピンバネし、工場や土木・建設現場などに売り飛ばす様子がリアルに描き出されています。 実は、戦前のこのようは働かせ方は、戦後、日本国憲法の下でなくなりました。 1947年に、「職業安定法」が制定され、その第44条には「労働者供給事業の禁止」が規定されています。 つまり、人身売買を禁止したのです。 また、同じ年、労働基準法も制定され、第6条で、中間搾取が全面的に禁止されました。 ところが、1985年に、財界の要求で自民党などが労働者派遣法を成立させます。 当初は、専門13業務に限定されていたものの、規制緩和で次々と改悪され、1999年に、日本共産党をのぞく全政党の賛成で原則自由化になりました。 そして、2004年3月からは、製造業も解禁になりました。 この結果が、現在の若い人たちの働く実態となったのです。 偽装請負や「日雇い派遣」が激増。 派遣の職場は、憲法も法律もない無法地帯に。 今日の青年の2人に1人が非正規で、ワーキングプア増大の日本が出来上がったのです。 この現状は、まさに『蟹工船』で多喜二が描いた状況と同じです。 いま、政治に必要なことは、労働者派遣法廃止法を制定することです。 そのためにも、日本共産党の躍進がどうしても必要ではないでしょうか。 10月3日は、「蟹工船」をみんなで観て、日本の社会と政治を変えよう!! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年09月06日 22時13分19秒
コメント(0) | コメントを書く
[蟹工船上映実行委員会] カテゴリの最新記事
|