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昨夜は父の病室で一夜を過ごした。看護婦詰め所となりの四人部屋で、手術前後や要注意患者に当てられる部屋だ。
夜中に目を覚ましたときにパニックにならないようにというだけなので、特別にすることもなく十一時ごろまで本を読んで時間をつぶした。 父が寝る前にクスリを飲ませているとき、向い側の女性患者から「私にもちょうだい」といわれてビックリした。とっさに「あなたは先ほど飲んだからもういいんですよ」と答えた。 父も含めて4人の人たちはイビキもかかず静かだった。この分ではボクのイビキが目立つことになりそうだ、と心配になった。 寝つきの早いのと眠りの深いのが自慢のボクは、父の腕と自分の腕を紐でつないでおいた。用があるときはボクを起こせと言ってあるが、もうそういうことが通用しなくなっている。しかも面白いのは、「そういうことは聞いてもすぐ忘れてしまう」という自覚が父にあること。 病院で、付き添い用の簡単な折りたたみベッドを貸してくれたので、横になることが出来た。やはり気になるのか何度か目を覚ましたが、異常がないのですぐに眠った。 何度目かのとき、ベッドの上に座っている父を見つけてどうしたの?と尋ねると、うんこだという。父の手首に結んであった紐がベッドの手すりに結び付けられているのを見て、1人で笑ってしまった。 四時になると空が白み始めた。こうして無事に一夜が過ぎた。 朝になって目を覚ました父は、しんみりと言った。 「死が迫ってきてると思うとなんやさびしいなあ」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005/05/30 03:20:40 PM
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