カテゴリ:家族紹介
「孤独な戦い」
無事に腫瘍摘出に成功しました。 後は体力の回復を待ってリハビリです。 主治医の先生に「僕たちが助けてあげられるのはここまでだよ。後はあなた次第だからね」 と言われました。 その時は「はい」とは答えていましたが、それがどんな意味を持つのかまだ理解していませんでした。小脳は運動関係・視覚・平衡感覚等をコントロールするという事も知りません。 リハビリ中もただ単に「筋力が落ちた」くらいにしか思っていませんでした。 ただ、先生がリハビリ担当者に「とにかく歩ける様にして欲しい」と言った趣旨の オーダーを出していたのをチラッと見た時は「ん??」と思いました(?_?) 10日程のリハビリで、一人でも歩ける様になりましたが、足元がフラフラ・・・。 そして少し動くと乗り物酔いの様な吐き気 ![]() 視界も歪んでいてとにかく変! 眼科の精密検査を受けましたが、目に異常は無くやはり「脳」の問題だろうとの診断。 術後の回復は早く4月25日に退院になりました。 皆はあまりに早い回復に驚いていましたが、悪い物は取れてもやはり脳へのダメージが 大きく、以前と同じ生活に戻れるとはとても思えませんでした・・・。 先生が言っていた「後は私次第」の意味が身にしみて理解出来ました。 入院中の「お気楽さ」とは真逆の毎日になりました。 自分自身のQOLを上げる為の孤独な戦いの始まりです。 ただひたすら歩きました。今なら20分足らずで歩ける距離がその頃は冷や汗をかきながら 50分程かかっていました。 必死で歩く私の横を、ウォーキング中の人達がスタスタと追い抜いて行きます。 仕事に戻るのが当初の目標でしたが、甘かったですね ![]() それならば家事もリハビリと思いましたが、最初の頃は洗濯物を干すだけで3時間もかかっていました ![]() そのあげく疲れ果てて午後はダウンという毎日でした。 1ケ月後の検査では、脳の状態も異常なし(まれに後から出血をする事もあるとか) 先生に「ちゃんと歩けない。」と訴えました。 「ちょっと歩いてみて。」と言われ狭い診察室を行ったり来たり・・・。 「思ったよりしっかり歩いてるけどなぁ」と先生。 そりゃぁ毎日の様に車椅子の方や動けない患者さんを診ている先生はそう思うでしょうが。 「多少の後遺症は出るし、これ位は仕方無いと思うよ」 外科医としては死に損なった患者が、自分の足で歩けるのだから上出来なのでしょうね。 「脳の傷付いた部分がもう少し回復してくれば、もっと改善されると思うし」と先生。 「先生。脳を鍛える方法ってありませんか?」と思わず聞いてしまいました。 先生は一瞬絶句した後、付き添いで一緒にいた息子と同時に「ぷっ!くくく・・・。」と 吹き出して「脳を鍛えるねぇ。そんな事初めて聞かれた」 「あのね。気持ちは解るけどね。まだ無理してはダメだよ。後は体調と相談して歩く事だね」 「それから、自転車とか乗らないでね。」「もう1回乗ってみました」 「えっ!ダメダメ。自転車は禁止」「先生、全くダメだったからもう止めました」 「転んで大怪我するよ。頼むよ本当に・・・。」と呆れ顔 ![]() その頃は本当に頑張ってただひたすら歩きました。 3ヶ月位で視界の歪みも無くなりました。 足元はふら付きますが歩くのも上手?になりました。 今はペインクリニックと心療内科を開業している先生を紹介してもらい、 脳の疲労を軽減する為に中程度の「抗鬱剤」と痙攣が残っていて眠れないので 寝る前には痙攣を抑える薬を飲んでいます。 長時間でなければ車の運転も出来るようになりました。 社会復帰とまでは言えませんが、身内の会社にパートで行っています。 前と同じ事が出来ないストレスはありますが、今お世話になっている先生に 「いつも全力疾走する事は無いでしょう?少しスピードを落として走る事もあるでしょう?」 とアドバイスされました。それから気持ちに余裕が出て楽になりました。 いま私がこうしていられるのも、沢山の人達の支えがあったからこそだと思います。 ノーペイン・ノーゲイン 病気になって得た物も沢山あります ![]() 「慢性の酷い肩こり・首こり」あるいは転びやすい・言葉が出にくい事があったり等の 症状は脳の病気の前兆という事もあるそうです。 もし、このブログを見に来て下さっている方の近くにこの様な方がいたら 脳の検査をお勧めします。 私も脳ドック等を受けていたら、もっと早期に発見出来たと思います。 おわり お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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