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カテゴリ:心理学
自信がなくなり、憂うつになる 私は、アメリカでひどい詐欺に何度も遭った。 不動産で詐欺に遭い、弁護士に保護を持溜めたら、その弁護士にさらに大きく騙された経験がある。 今から冷静に考えてみると、アメリカにいるという不安から、心の中のどこかに相手に対する迎合があった。心のどこかで迎合しつつ保護を求めていた。 その私の態度を見て、弁護士は、「こいつなら騙せる」と確信したのだろう。もともと騙されてオレのところに来たのだから、こいつは騙しやすい人間だと弁護士は思ったに違いない。 私は、その時の心理を反省してみた。 まず不動産屋に騙され、次いで弁護士に騙された。そこで別の弁護士のところにいくと、「アメリカの事情が分からない外国人を騙すなんてひどい弁護士ですね。私はそういうあなたを保護してあげます。それが私の仕事です」と言った。 今から考えれば、こういうことを言う弁護士は危ない。 自分が外国人を騙し慣れているから、こうした言葉を思いつくのである。 しかし、私は、最初の弁護士に騙されて、外国で不安だった。 そんなときに、「私が保護してあげる」と近づいてきた弁護士に迎合し、私はさらに大きく騙されてしまった。 不安の中で保護を求めているときには、相手は見えない。 自分の中に甘えがなくなったときに初めて、相手が見えてくる。 また、わがままな時とか、迎合しているときには、相手は見えない。 現実の社会では、迎合すれば、利用され騙されることが多い。 このようにハッキリと詐欺に遭うという形はとらなくても、迎合する人は、ずるい人からうまく利用されている。利用されないまでも誰からも重きを置かれない。
イソップ物語に、「踏みつけられたヘビ」という話がある。 大勢の人に踏みつけられたヘビが、ゼウスに訴える。 すると、ゼウスは、「お前を初めて踏みつけた人にお前がかみついてみたら、あとから来る人には踏みつけられなかっただろう」と言った。
ところで、相手に迎合することで不安を解消しようとしていると、心理的に重大なことが起こる。 カレン・ホルナイは自分が頼りなく感じるようになると述べているが、私なりの言葉でいうと、「迎合していると自分の価値に自信がなくなる」。 だから、自分の本性を見失い、相手によく見えるように努力をはじめる。 すると、不満がたまって、何が原因だかがわからないが、憂うつな気持ちになる。 重苦しい気持ちから逃れられないような絶望感に襲われる。 会社などでも、変化に弱い社員はこのタイプである。 自分が頼りないから、変化が一番怖い。 新しい分野に挑戦できないし、仕事のやり方を変えられない。
【不安のしずめ方 人生につかれる前に読む心理学】加藤諦三/PHP文庫 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
December 28, 2022 05:15:58 AM
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