退任!
「こんなものかな...」最終より一本はやい新幹線の指定席に座ってプレミアモルツの缶ビールをゴキュゴキュと飲んで、テーブルに置いてふと、ぼんやり、つぶやいてた。上野駅のパブで、ひとり静かにギネスを飲んで始まった執行部としてのおいらの6年間は新旧執行部が勢揃いの、沖縄料理店でのオリオンビール一気飲み大会の喧噪で幕を閉じた。いろいろ、仕事とプライベート両方でうつむいていた6年前はそれでも、会社に必要なときは噛みつく元気さももっていつつ、自分なりにいろいろ勉強もし、頑張っていたと、我ながら思う。執行委員としての立場というもののプレッシャーといつもどこかで戦っていたのも事実でなんだか、偉そうなことを職制側の前で口走りつつもあんまり、しっかりとした業績を仕事の面ではあげられていないことに後ろめたさを感じたり、焦ってみたりもして「しっかりしろ、俺!、しっかりしろ、俺!」といつも自分に言い聞かせていたような感じだった。その後、卓球協会の理事長にもなってしまったりでそっちもそもそも、選手としての実績がまるでないのにそんな役職になってしまって同じような感じのプレッシャーにダブルで追い込まれていたりしてそんなこんなで、2年前は本気で退任しようと思ってみたりもしたがなんだかんだと引き留められ、もう2年間はじゃあ頑張りますなんてうっかり言ってしまったのだけど一緒に頑張ってきた、支えてくれた執行委員は着々と課長さんとかになったり転勤したりして次々と組合を卒業していき気がつけば執行部最年長&最古参とかになってて、若い委員さんの中でもちょっと浮いてきたかなあとかも思っててさすがに、今回は辞めどきだよな、ということではあったのだけど。なんつーか執行委員なりたての時の自分の目線とその「最古参」での目線とでは、もちろん組合や会社を見る目も違うしなによりも会社を取り巻く環境や職場そのものの環境、雰囲気がこの6年間でかなり変わった、ということもあるんだけどそれでも、ちょっと思うのは、今の若い執行部の子たちが、あまり積極的に仕事とか会社についての議論(まじめな)を戦わさなくなったな...ということ。もちろん、とても優秀な人たちの集まりで、ときどき感服することもあるし仕事もみんな出来る奴らばっかりですごいなあ、と思ってるし意見を求められればきちんと自分の意見をコンパクトにまとめて発言するあたりもさすがだなあ...とかも思うんだけどなんつーか、もう少し尖ってもいいんじゃない?もう少しいい意味での危機感とか持っててもいいじゃない?思ってみたりもしてそういうある種の緊張感が、自分が始めた頃よりも無くなってきてるよね...という思いをちょっと持ちつつ...もっとも、親会社とか子会社とかそういうことになって若干、会社自体が以前より尖るようなこともなく、ということなのかもしれない。けど、だからこそ、もう少し、しっかりしないと、特にこれからは労働組合の存在価値そのものが、揺らぐんじゃないかな...とか思ってみたり。しかしながらこんな、退任についての個人的な感慨を一蹴するかのように会社についての重大な(っても予想はされてたけど)発表がほんの二日前になされ新しい執行部は、間違いなくその渦の真ん中に置かれることになる。そんな危機感とか緊張感とか言ってる以前にいろんな「現実」が彼らの前に立ちはだかるんだろうなあ...今の執行部は、それに、まっすぐ立ち向かっていけるだろうか。ま、行くしかないんだけどね。それを目前にして退任した自分がちょっと、ほっとしたというか「セーフ!」みたいな気持ちとちょっと、敵前逃亡したような後ろめたさとを持ちつつもなんだか、その割にはあまりにあっけらかんとした「引き継ぎ会」となった沖縄料理店の異様な喧噪に少し気おされた感じのままあんがい、あっさり終わった退任の日。帰りの新幹線。空いた指定席。東京に来る機会も、ぐっと減るんだろうな。この新幹線に乗る機会も、結構減るんだろうな。会社との「距離感」という物も、すこし変わるんだろうな。ぼんやり思いながら、またプレミアモルツをぐびぐびと飲み干す。さて。いろいろ、感慨にふけるのはここまで。長野では、卓球の全国大会がまさに開催中。あしたは、朝7時集合で、副競技委員長をしっかり勤めないといけない。目を瞑って、あしたの朝からの段取りを思い返してみて。まだまだ、しっかりしろ!俺!