カテゴリ:本
米澤氏のファンタジー・ミステリ?
ロンドンから3日ほど船で進んだところにあるソロン諸島。 その領主を父に持つアミーナはある日、聖アンブロウジウス病院兄弟団の騎士・ファルク・フィッツジョンと、その従士の少年・ニコラに出会う。 ファルクはアミーナの父が恐るべき魔術の使い手である暗殺騎士に命を狙われている、と告げる。 忠告された次の日、自然の要塞であったはずの島で父は暗殺騎士に殺された。 術をかけられ、犯行を記憶していない〈走狗〉候補の8人の容疑者は、 アミーナ、家令のロスエア、従騎士エイブ、イングランド人の吟遊詩人イーヴォルト、 そして、怪しき傭兵・・・ザクセン人の騎士コンラーと、ウェールズ人の弓手イテル、 マジャル人の戦士エンマ、サラセン人の魔術師スワイド。 ファルク、ニコラと犯人を追うことになったアミーナ。 そのころ、島には甦った「呪われたデーン人」襲来が近づいていた。 鍵のかかった牢からは「呪われたデーン人」の捕虜トーステンの姿も消えて・・・? ”犯人が覚えてない”という魔術がなければまったく成り立たない推理劇。 ---------------------------- 犯人除外の方法もこの世界のルールにのっとって、だから 姿が消える燭台を使って盗みを働いていたから、とか、 宗教上の問題があったから、とか、ミステリ風だけれども、推理させようというつくりではない。 不死の呪いがかかったデーン人だから、牢からの脱出も自身の体を切り分けて外に出してくっつけた、だし。 暗殺騎士になった弟に操られている人物を探して、という始まりなのだが、 そもそも、「犯人は覚えてない」という条件を逆手に(?)とって、 探偵が犯人(ファルク)だと堂々と明かすラストはどんでん返しでもなんでもない。 一応、途中で記憶がない傷があるというところで彼が犯人って誰も疑わないのかな?と 分かるつくりにはなっていたけれど。 ミステリとしてではなく、昔読んだファンタジー小説風と思うとどこか懐かしいような。 吟遊詩人の歌に残された戦いの鍵、傭兵らが自分たちの特異な資質を生かして戦うさまや、 呪われたデーン人の現れ方などは特に。 世界観にさえ慣れれば一気に読める。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
August 27, 2012 11:59:59 PM
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