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片桐早希 おむすびころりん

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FLOWER GARDEN 2 小山千鶴さん
2008.10.27
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カテゴリ:カテゴリ未分類
 雪乃は立ち上がり、草取り鎌を取り出し軍手をはめた。

 とにかくこの草を抜いてきれいにしよう。

 そう思い、秋の陽ざしの中、雪乃はただ一人黙々と草抜きをした。

 汗が頬を伝う。

 腰も痛くなってきたが、雪乃は作業をやめなかった。


 草にもいろいろある。

 抜きやすい草、抜きにくい草、すっとまっすぐ伸びた草、横にはうように広がる草。

 そんな草を一本一本丁寧に抜きながら、雪乃は思う。


 この草のように、私の中から嫌な思い出が全部消えればいいのに、と。

 昭のことも菜摘のことも思うたびに心が暗くなる。

 しかし、

 何日も続いた眠られぬ夜に、雪乃は願ったのだ。

 昭と菜摘が不幸になるように、と。

 菜摘も自分と同じような目にあえばいい、と。


 自分はこんな人間だったのだ。

 涙が汗と一緒に流れる。


 おばあちゃん、ごめんね、こんな雪乃におばあちゃん、失望するよね・・・・。



 時間がどれだけたったのか分からなかった。

 祖母の墓の周りは見違えるように綺麗になった。

 墓の前に線香を供え、菊の花を生けると、雪乃は長い間、祖母の墓の前で手を合わせた。


 



 





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Last updated  2008.10.27 20:52:45
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