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仕事を終えた雪乃は、新しい住まいを決めるために、毎日街の不動産を訪ねたり新聞で
探したりしたが、なかなか見つからなかった。何しろお金が不足しているのだ。 会社では、菜摘が雪乃の部屋に泊まったことを昌代達に言いふらし、昌代たちも今度雪乃の 部屋で泊まりがけで飲み明かそうと、勝手に決めていた。 とにかく、一日も早く引越しをしなければならなかった。 十一月も終わろうとしていた。 街にはクリスマスの飾りが目立つようになっていた。 十二月十六日は、雪乃の誕生日だ。 雪乃が生まれた日、雪がたくさん降ったことから、雪乃と祖母が名付けたのだった。 昨年の誕生日は、昭が小さなケーキを買ってきてくれた。イタリア歌曲を聴きながら、ロー ソクを灯して、二人でケーキを食べた。 こんなに幸せな誕生日があるのか、と雪乃は心から思った。 新しい部屋を探すことに、雪乃はくたびれ果てていた。 街角の小さな不動産の張り紙を、諦めの気持ちで見ていたとき、雪乃は突然声をかけられ た。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.11.11 21:56:22
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