ホリエモンが捕まり、耐震偽装が発覚し、官制談合が摘発され、通園途中の幼稚園児が殺害され、心の痛むニュースの数々で、国内は苦厄の惨状を呈し、トリノ冬季五輪の成績もメダルなしの落ち込みに、テレビ特集「気象大異変」では100年後の世界の焦熱化を報じ、国外もフィリピンのレイテ島の山崩れの災害のニュースで、心が暗くなるばかりである。生老病死の四苦といわれるが、まさに「生」の苦である。この目前の「生苦」に対して救済を求める先は、科学や技術ではないし、政治でも行政でもなく、ビジネスでもないし、経済学でもない。京都大霊長類研究所の正高信男教授は、科学の世界でも、ビジネス業界でも、人間はややもすると暴走してしまう危うさを持っている。かつては宗教が歯止めをかけていた。それが今は、ブレーキの所在の不透明な状態が続いていると指摘する。仏教では「縁なき衆生は度し難し」といい、キリスト教では「信ずる者は救われる」という。宗教の救済の考え方は、物理・化学の現象に通じるものがあることを思いついた。物理学では量子テレポーテーションの現象が回向の思想と相似し、化学では触媒の作用が仏教の「結縁」やキリスト教の「信ずる者は救われる」の思想と類似している。今日、宗教の救済について、科学的現象とも相通じていることを念頭に、心静かに考えなければならない。そして救済の働きにより、「生苦」から脱して心の安らぎの境地を得るようにすべきであると痛感している。科学技術も政治も行政もビジネスも、経済学もすべては人間のためという原点に立ち戻って、人間救済の方向に研究を進めることが強く求められているのだと思う。
寒き日の 雨に 救済 念じおり 土筆
生きる苦に 救済思う 寒き雨 土筆
救済が なくて生きるか 雨寒し 土筆
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最終更新日
2006年02月20日 17時54分49秒