東雲湖のあとは、ずっとオンネトーにいる。アイヌの言葉で、古い湖。案内板には、年老いた沼と、気の利いた意訳が当てられていた。まさにすべてを水底に沈め持っている主、といった雰囲気が漂っている。もうひと昔も前になるが、家族でキャンプに訪れたことがある。娘たちが乗って遊んだ倒木が、おそらく数センチも動かずに当時のままの姿で、湖に突きだし横たわっていた。懐かしくて、ただ嬉しかった。でもあの時は、子どもたちにこの湖の素晴らしさを見せてあげられなかったかも知れない。ぼく自身がいまはじめて、オンネトーに魅せられている。何日でもいたい場所だ。テーマもなく気ままに撮ってきただけのぼくが、珍しく撮り続けてみたいと感じている。この湖には、きっとなにかが潜んでいる。