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July 4, 2012
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カテゴリ:6年3組
第一部より

週末、小学校同級生の甲斐さん主催の朗読会へ出かけた。
「怪談」と聞いていて、愉しみに。

<intermission>

4.「詩と音楽のコラボ」 

青い部屋 風のように 幻影 流れ星 吉行理恵

モーリスラヴェル
プレリュード 「鏡」より「道化師の朝の歌」 亡き王女のためのパヴァーヌ 「クープランの墓」より「フォルラーヌ」 メヌエット 

インターミッションのあとのクールダウンになってしまい、頭が休んでいた。記憶が飛んでいる。気のふれたばあさんが、むすこをかえせって、わたしの青い部屋の外で騒いでいて、それが怖いかっていうと不気味じゃないか。おんぼうってなんだろう 穏坊.... あれって差別語じゃぁなかったっけ...

「クールダウンできたのは、音楽もお話しもよかったってこと。悪かったら、そこが頭に残ってリラックスできない
吉行理恵の詩って読んだことある?」

まったくない

「文章は?」

たぶん無い

「吉行理恵の詩を、朗読で聞いてわかれって、あなたには無理。
文章で読んでも理解不能と思うわ」

「ピアニストの辻井伸之君。とてもすばらしい演奏をするでしょ。それが、こないだの協奏曲はぜんぜんダメだったの。オーケストラとの相性が悪かったのかしら。ソロはとてもよかったのだけど。バランスが崩れていた。聞いていてすごくくたびれて、終わったときはほっとしたの」


5.「吉備津の釜」 上田秋成雨月物語」より

「上田秋成は読んだことある?」
いくつかは
「原文で?」
高校の古典で習った
「吉備津の釜は?」
ない

「全員ってどういうこと?」
朗読メンバー全員が、まわりもちで読むの
「秋成の文章のままでやったの?」
うん だいたいそうだと思う

「怖かった?」
ぜんぜん
君はひどい人だな。せっかくのご招待なのに

「ほかの人はどうだったのかな」
同級生の真里ちゃんは、言葉が難しくてそちらを追いかけるのにせいいっぱいだったって言ってた。
留さんは、もっと暗いところで聴くと怖いって

「そのほかの人は?」
詳しいことはわからないけれど、みんな「怖かった」って手を挙げてたような気がする。
「男の人居た?」
いや 全部女性

彼女たちは、怖いって言わないと悪いと思ってるの?
「そうではないわ あれって、条件反射みたいなもの 
さっき女の人は、自分が前に出ているときには、ほんとうのことを言わない人が多いって言ったわよね」

うん
「あれってウソとは違う。小さいころから女って自分を作る」
男だってそうだよ
「あなたがたのはウソ、私たちのは化粧」

虫愛ずる姫君。女は女を演じる」
男もそうだよ。
「あんたらは正直だからね。ウソついてるつもりでウソがつけない。女はウソが本当になってしまう」

「上田秋成を、昔のままの文章で、何人かでまわりもちで朗読する それを読んだこともない君に怖く思えって言ってもねぇ」
素養も感性もないからなぁ

「そういってしまえば、素養と感性ね。
お話しを知っているか知らないかはすごく大事で、あなたみたいに、初めてのお話しを古文で、次々と違う声が読むのを聞いて理解して怖いと思うのは、難しいかも。英語のホラー小説を朗読で聞くのといっしょ」
頭の理解がストーリーについていかない

「吉備津の釜の怖い部分はどこにあると思う?」

最後に正気に返ったとき、自分がどこに居て、どういう状態だったかに気づくとこ。

「上田秋成は深いねぇ。人間は、誰でも最後の一瞬は、自分ひとりで、自分に向き合わざるを得ない。すべての虚飾を取り払い、素の自分にね。
虚飾が多ければ多いほど、本当の自分は、弱くて情けない。
言葉が違うから、そこまでなかなか多くの人は読みきらないけれど、上田秋成は、memento moriを普遍的に描ききった唯一の日本人じゃないかな」

「雨月物語は、だいたいが中国古典の翻訳だって聞いた」

上田秋成もストーリーテラーの才能はなかった

「そういうことではないよ。再話とか翻訳って、すごく大事なの。
昔の人が何考えてたのか、とか、よその国の人が何考えてるのかを伝えるからだけではない。
昔のお話しって、どこかみんな曲者なの。そうじゃないと、残ってないと思う。外国のお話しでも、どこにでもあるお話しを、みんなに伝えようとはしないわ。上田秋成とか芥川、太宰は、そこにある普遍的なものを伝えていく語り部なの」

上田秋成も?

「芥川とか太宰は、語る最後で逃げちゃったのかなぁ。二人とも自殺したのは偶然ではないね。素の自分と向き合うだけの覚悟がなかった。そこを上田秋成は書ききった」

「素の自分と向き合うのは誰でも辛い。それでも、自分と向き合った結果どうなるのか。結果の先には何があるかを、確かめたい、書きたいのが作家だと思う。
だけど、最初から書いていおうとすると、途中で挫折しちゃうのね。辛くて書き続けられない。秋成も、芥川も、太宰も、みんなやってみたと思うの。日本て歴史の古い国だから、古典とか宗教問答とかいっぱい残ってて、自分で最初から書いて自分をつきつめていったら、何が起こるか、がわかっちゃう。その先まで行けない。その先が書けない。だから、昔のストーリー、他国のストーリーに仮託して、辛い部分を越えて、そこから自分をはじめる。
だけど、それでも、芥川も太宰も挫折しちゃった」

弱かった...

「弱かったとは、いえるでしょう。でも、私たち一般よりは強いわ。少なくとも、その先に行こうとする勇気があった。私たちは、そのずーっと手前で、笑ってごまかしたり、ウソついてみたり、自分を演じてみたり、向き合うことをやめてしまう」

***

「愛人をもつとしたら、とっかえひっかえと、一人の人と あなたはどちら?」

男としては、多くの人がとっかえひっかえだろうなぁ。
「あなたは、私に愛人ができたらどう思う?」

いいんじゃない。しょうがないもの。
「便利な女」ではかわいそうだけれど、止められない。

「女はみんな便利な女がいいんでしょ」

君は、僕が愛人を持つなら、ひとりの女と、とっかえひっかえと、どちらがいい?

「とっかえひっかえのほうがいいかな。でもね、愛人はいつまでも便利な女のままではないわ。自分だけのもの って画策するの」

一人では続かない。何人かいるから、ひとりひとりと長く続く。

「愛が残るのは形だけ 画策は死ぬまで」

僕らの場合は?

「      」





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Last updated  July 5, 2012 07:12:06 AM
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