コーチ賢ちゃんの「コーチング談義」

　自分の人生が「自分らしいいい人生」だったか否かを決めるのは、人生を終える直前の自分ですよね。

　人は限りある命（時間）を削りながら、人生の「ＥＮＤ」に向かって生きています。言い換えれば、人生は時間でできているとも言えましょう。

　そしてまた、全ての人は「幸せになる」という究極の目標を持って生きている（時間を使っている）とも言えましょう。なぜなら「今日より明日、明日より明後日と、より不幸せになりたくて、生きている人」など、いないでしょうから・・・

　だとしたら、人は年をとればとるほど幸せになっていき、人生を終える時には全ての人が大往生して天国に行けるはずですよね。

　ところが現実は、人生の終わりに臨んで（人生の長短に関わらず）家族に見守られながら「みんなのお蔭でいい人生だった、ありがとう！」と大往生される人と、「こんなはずではなかった」と後悔しながら旅立つ人がいるようです。

　最後に「幸せという実り」を手に入れる為に、土を耕し、肥料を置き、種を選び、蒔き、育てる各々の行程に、どれだけ効果的に命（時間）を使うかが「鍵」となりましょう。

　コーチングでは「幸せな人生」「その人らしい“いい人生”」を歩むには以下の４つが必要だと捉えています。

１．自分の人生の目的地を知る

　「自分は“人生の幕”をどのように降ろしたいのか、何を達成したら“いい人生だった”と言えるのか、この世で本当に果たしたいことは何なのか」という、自分ならではの「最終ゴール（人生の目的地）」を明確にすることが重要です

　人類共通の最終ゴールは「幸せ」なのですが、どうなれば幸せなのかという個々の幸せな状態は異なり、１０人いれば１０通りの幸せがありますので・・・

　例えて言えば、自分がナスなのか、キューリなのか、トマトなのかを知ることです。自分がナスだと分かれば、いいナスになることが自己実現（品性完成）であり、キューリやトマトの真似をしてもダメだということになりましょう。

　この人生の目的（ミッション）は、全ての人が内側に既に持っていて、新たに作り出すものではなく「気付き、たどり着く」ことが重要であることは前回書きました。そして、コーチングのすごいところは、これを引き出すスキルを持っていることなのです。

　この自分独自の「人生の目的」を知った多くの方々は、自分の人生のゆるぎない「中心軸」を持つことになり、周りや環境に振り回されず「人生の主人公」となって生きるパワーを得て、明るく元気なって行かれます。そんな姿を見る度に賢ちゃんは、コーチになって本当に良かったという感激を味わっております。

２．人生の目的地に繋がっている「正しい目標」を持つ

　漫然と生きていては、人生の目的地に到着することはできませんので、中間に幾つかの目標を設定します。富士山の頂上を目指すにも、１合目、２合目、３合目と登っていくように・・・

　ここで重要なのが、目標の達成が、自分の人生の目的地に繋がっているかどうかです。

　世界のトップコーチの一人で「７つの習慣」の著者、スティーブン・Ｒ・コヴィー博士の次の言葉は、目標と目的地の関係を見事に指摘してくれています。

　「間違ったところに梯子を掛ければ、どんなに梯子を早く登っても、見当違いのところに早く着くだけである」

　具体的な例を紹介しましょう。ある男性が結婚して「家族を幸せにする」ことを人生の目標の１つにしました。

　そこで彼は、出世して経済的に豊になれば家族を幸せにすることができると考え「仕事で成功する」という目標を立て、家事や子育ては全て奥さんに任せ、休日返上で仕事に没頭しました。

　やがて苦労の結果が実り、出世もし経済的に豊になりました。そんなある日、奥さんが子供を連れて家を出て行ってしまいました。

　この男性は「目標」は達成できたが「人生の目的」を果たすことができなかったことに気付き、愕然とするのです。

　では、この男性はどのような「目標」を持てば「人生の目的」を果たせたのでしょうか？

　「仕事と家庭のバランスを取る」という目標を持ち、仕事が忙しい時は事情を充分に奥さんに話して仕事に集中し、一山越えたら休日には家族との楽しい時間を持ち、平日も可能な限り家事のサポートに努める生活を心掛けたら、きっと仕事も家庭も両立でき、人生の目的を果たすこともできたことでしょう。

　残りの２項目は次回に譲ります。