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2007.12.22
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九鬼光志 詩集      
             瓶の中

       孑孑 ( げっきょう )
         今は
         鈍色の独り児の
         抱えた定めの哀しみも
         時が来れば全てが解け
         そして全てが
         鎮まるだろう





プロローグ 
        僕の詩のテーマが暗い理由

    来るべき死  消滅の美学

 科学者の推論によれば、
宇宙の拡張が、やがて停止する・・・と。
それから、
縮小が始まり、終わりには巨大なブラックホールに消えるだろう・・・と。
正と反とは、神の存在をも左右しかねない。
はたして、そうだろうか?
少なくとも、聖書に書かれてある様に、天地を創造した神は、
宇宙の消滅するのを正視出来るだろうか?
そして、又、実体の無い神は、
彼の溺愛する偉人達、各国の天才達が、この議論に没頭するのを止める事も
しない。
 新聞の報道によれば、二〇〇一年一月半ば。
先進五ヶ国が、同時に証明実験に入った。・・・と、ある。
今、原子の自然崩壊を、時間を等価的に短縮し、
つまり、物理的、化学的条件を、高速に変化させて試みているが、
立証が終われば、それは、究極、宇宙の消滅理論が決定される事を意味する。
精神は、神と人間の絆。
哲人デカルトの説を基とすれば、人が死ぬ時、神との絆、精神は、
言葉として残り得る。

凡夫と言えど、あくまで、個人周辺の次元では・・

全人類の死滅の時は、人が核の過ちを起こさなくても必ず来る。
科学による太陽の推定寿命。
仏教による弥勒の俗界出現の予言が、それだろう。
また、宇宙そのものが消滅すれば、
そこに残る物は、無形の闇と、自由に歪む時の他は何も無い。
アルベルト・アインシュタイン。『一つの石』と言う名の偉人。
彼は予言し、今。世界の定説となっている。

 さらに、僕は思う。
現存する宇宙、その壁の向こうに、もう一つの世界があり、
そこも又、茫々たる闇で、再び、宇宙が生まれないとしても、
それは、滅びの闇ではなく、
むしろ、完成された姿では、ないだろうか?
僕はこの事を、真の涅槃寂静だと信じている。
一般に、生を賛美すれば死は暗い。
しかし、死をも肯定すれば、闇も又、負の発想ではなく、生も死も連続した命脈であろう。
回天の夢は、無想の極、生死を越えたところに、なに人においても約束されているのだろう。
生との別れの死は、全ての感情を包含し、悲しみであると同時に、憧れに似た期待をも感じさせはしないだろうか?
僕が、悲しみと、期待とを交互に感じるまま、明日も拙劣な詩を書く行為、
それは、本能であるとさえ、思えてくるのです。
                        
                             九鬼光志







瓶の中

上に出て災禍を継ぐか
下に沈み腐渣となるか
孵ってしまった孑孑が戸惑う汚世

橡色の醜い虫と
瓶に歪んだ少年の日が還る
あれは予兆だったのか

あしたに目覚め 夕べに眠る
朝が来ない様に祈り
明日こそ奇跡がおきる事を祈り

同じ幻が濁る老朽の日々
この硝子瓶を覗くのは
巨大な泣き顔が空間に歪むのは
依然 俺に出きる事は
今日も 唯 くねくね


信者の習わし

俺が不思議に思うのは
過去 二千年の間
像の前に 跪く奴は大勢いたが
お前達 信者の中で
祭壇に登り
釘を打たれた あの像を
十字架から降ろし
せめて 涼しい木蔭に運び
痛々しい傷口を
洗った奴が居たか
いつまでも
指を組んで祈るだけか

苦悩の表情を
微笑みに変えたいと
願う奴が居たか
誰か 一人でも


立命への返書

初めに
与えられた石の名は 懐疑
この終末
未だ 石を抱いている
結実は努力と称え
生きる足掻きを 哄う群
汚れとの 共存を
試練と忍ぶべきか

だが 俺も
掠め取られた弱者
その獲物を食らう 鬼の酒宴に
盃を勧めて廻る卑屈
無駄を積み上げ 恐々と登る
未練を断つ雄気も持たず
唯 営々 人糞を作り続けた消光

意のまま

人の姿で繋がれ 解かれた瞬間
下へと駆けて行く 本質の狗
この鬼界の記憶を刻む

小さな拳は再び握らず と
それは愚行
所詮 夢は一瞬に醒め
石は 依然 石のまま

悲しき誇り
血と苦しみを絶つ大役
やがて石すら離す時
列魂の最後を舞うだろう
むしろ 息らぎ
分相応の立命 と


砂 安らぐ季

風 吹くたび
住処を追われ
踏まれ続け 泣き続け
砂は身を軋ませて傷つき
欠けて 割れて

渚に残る 夏の亡骸
涙と 秋が枯れた後

影をつれて陽が沈み
やがて寡黙な冬が座る

もう 泣くことは無い
 誰にでも来る冬だから
 誰にも厳しい冬だから
むしろ冬は
砂には 優しく思われて
帰って来た 母の様に
雪が小さく歌いながら
白い小粒で胸を叩き
   とんとん と たたき
お前は眠ることだろう
  歌声が聞こえるのは
  泣き砂 お前 ひとり

風が 固まり
風の音が 固まり
空が 固まり
 鈍色に かたまり
 浜が 絵の様に止まる時
雪 それだけが 舞いながら

 白くお前を抱くだろう
下は
ひっそりと夢も動かず
ただ 砂の寝息


再びの夢

希いは さながら水月
神を求めて 命 棒に振る
仮借なき時に 人は老い
失望という 完成を見る
死の瞬間 欲がどろどろと溢れ
生への未練は 醜い尾となって
震えながら 存在をまさぐり
涙を忘れた悲しみは
屍を離れて鈍色にゆらめく

疲れ切った魂が 宙に融合する時
初めて 神の声は言った
もう一度 生まれてみるか と
魂は礼を言った後
願わくば 屍を焼かないように と
誰にも 気付かれず
蛆虫の巣になりますように と
時が経ち 蛆虫が湧き
白く泡立ち 蠢く屍
水に溶け 海へ帰れ
土に融け 地底へ帰れ
そして 最早
私は固体ではなく 暗黒の上へと昇る
 再び 無意識の幼子となり
  母の乳房に抱かれ
 再び 恋と出会い
  爽やかな風に座して
  貴女の髪に触れる ときめき

輝いた光の春は往き
茫漠と拡がる空間
闇 魂を包むもの
それ自身 無音の爆発
膨張の続く中
私の精神は飛びつづける
だから それ故に
煌く 涅槃は遠く
再びの夢は 更に遠い


無用の木

初めから 曲った摺子木
引っ越す度 いつもついて来た
引出しの暗い隅に寝て
時に起こされ山芋を摺る この手と

九つの頃 薪のお前を
肥後守で削った
お前の仲間は
火吹き竹で膨らむ頬を
赤々と熱く照らし微かに音をたてた
役目は終わったよ と

あれは確かブリキの煙突
見上げれば天井は黒く煤けて
ゆらゆらと昇った火の粉
一生かけて一瞬 燃えて終わった薪
それで良かったのか 焚かれる為に生まれた命
無用の木と 人に呼ばれて

夕陽よ 貴女は赤く
見事に終わりを告げるのに
それ故に生まれた陰は
あの冬と同じ やがて闇に消えるだろう
もし 母が生きていたら
もう 許してくれるだろうか
望まぬ 鬼子の誕生を

歯を噛め もっと強く
定めの神意を測るより
湯の沸く音を聞きながら
黙って山芋を摺ろう
遠い昔の 土間とかまど
滲んで来るのを くるくる回す
生まれながらに 少し曲った 橡の
摺子木と
俺と


蛍になる日

片付けよう
頼まれもしない雑用
延々と続けた茶番劇
貧乏な振りして
病人の振りして 後すこし

人の命は永すぎる
今度は 蛍に生まれよう
 木が鳴って 幕が下りる
 その日がきたら
 どうせ無駄だから 誰にも話さず
 妹が手をとれば 唯 頷いて
みんな 消える筈
 思い出しても 泣かず
朝が もう 来なくても
俺が 俺の肩をたたき
ただ 頷いて

苦しんでいる振りして
 意識を逃れ
 冷めた終わりに触れた後
言葉の無い 蛍の言葉
 それが 黄になり 青になり
 俺を 迎えに来るだろう

それから 後は
六つの時の
背の高い 葦の河原へ
空を歩いて帰るだろう







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Last updated  2007.12.22 13:05:26
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