カテゴリ:読書
先日、読んだ本です。 若竹七海の『殺人鬼がもう一人』。 連作短編集です。 私はこの作者の葉村晶シリーズが好きなのですが、 今回は違います。 うってかわって警察官 砂井 三琴が主役(少なくともいくつかの短編では)。 架空の町 辛夷ヶ丘を舞台しています。 20年前に連続殺人事件があったきり、めったに事件も事故もない のどかなところ。 ところが水面下では様々な事件が起きていたようで、、、、。 軽いタッチでユーモラスに描いているので 油断していると、ぞっとする展開。 でも、決して暗くなりません。 まるでセント・メアリー・ミード村。 牧歌的で一見、のどかなのに犯罪率高し。 住民たちもなかなかの曲者。 この匙加減が絶妙です。 こういうもの、下手すると大惨事になるんですけどね。 その昔、新本格派の新人さんたちがしでかしていましたが。 主人公の砂井三琴も、なかなかのしたたか者。 身長170㎝を超える恵まれた体形、 普通はコンプレックスを感じそうなものですが 彼女はハイヒールが大好き。 たとえ、それで上司に疎まれても。 若い現代女性らしく人生を謳歌することに 余念がない様子。 おいしいもの、ブランド物のハンドバッグ、ハイヒール、 蓄財大好き。 時には捜査上知りえた情報で副収入を得ることも。 このあたり、不運だけれどみじめではない、 まじめでストイックな女探偵 葉村晶とは大きく違うところ。 ですが、さすがは若竹七海。 不快な気分にさせず、 ブラックユーモアとして娯楽になる度合いを わきまえています。 この点、本当にうまいです。 ブラックユーモアというと私はイギリスのクリスチアナ・ブランドを 思い出すのですが あちらは容赦ないですからね~。 『招かれざる客たちのビュッフェ』を読んだ 姉がのけぞっていましたもん。 (ちなみに私の姉はかなりのリベラル。 ですが、アメリカに10年、イギリスに2年いたため、 英米の宗教に対する生真面目さが身に染みているようで、、。 信仰すらブラックユーモアの対象にするブランドは 恐ろしいと思ったみたいです。) どの短編もひねりがあって楽しめました。 図書館で借りたのですが、文庫本化されたら買います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020.02.14 13:57:34
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