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テーマ:日本史について語ろう!(97)
カテゴリ:奈良時代
くまくまキャスター(以下くま)「本日は、右大臣長屋王の邸宅にお邪魔しております。先ほど北門から入りましたが、ここは何やら大小、いろんな建物が立ち並んでおりますねー」
長屋王の奥さん吉備内親王(以下吉備)「我が家は内郭・外郭のふたつに分かれていて、こちらは外郭なんですの。使用人たちの仕事場や居住区に当たりますわ」 くま「は~、使用人たちのスペース……って、こんなにでかいんですか?!」 吉備「(怪訝そうな顔して)当然ですわ、うちで働いている者は数百人いるんですもの。正確な数はわたくしは把握してませんけれど」 くま「(一瞬絶句)な、何でそんな人数が必要なんですか?!」 吉備「あら、だって生活全般をこちらでまかなえるようにしておりますもの。ですから料理人、庭師、医師、仏師、音楽家、事務員……職人にいたっては種類が多すぎて存じませんけど、とにかくあらゆる業種の人間を雇っておりますわ」 くま「(目がまんまる)み、みんな長屋王お抱えということですか…何ていうか、豪勢ですねえ……」 吉備「では内郭に入りましょうか。わたくしたちの住まいですわ」 くま「あ、あの~、それだけですか?」 吉備「それだけって?」 くま「せっかく外郭に来たんですから、皆さんがどんなお仕事しているのかご紹介したいんですけど……」 吉備「まあ、あなた物好きですのねえ。でもわたくしあまり詳しいことは存じませんの。政所(まんどころ)に一任してますから。……仕方ありませんね、おまえ(かたわらの侍女を呼び寄せて)、政所に行ってだれか職員を呼んでらっしゃい」 その間に吉備内親王は、「では内郭で待ってますから」と一言残して去ってしまった。一体何しに来たんだ、あの人は?と首をひねるくまくま一同。身分の高い人というのはどこかズレているのかもしれない。 カメラが周りの建物などを撮影していると、政所らしき建物からひょろ長い男がタタタとやって来た。 政所の職員・丙万呂(へいまろ)さん(以下丙さん)「どーもお待たせしました。外郭のご案内をすればいいんで?」 くま「あ、どうも、ぜひお願いします」 丙さん「じゃ、政所から行きますか。皆さんついてきて下さい」 以下長くなるのでチャカチャカ二倍速! 政所(まんどころ:長屋王宅の経済をとりしきるまとめ役。一家の中心です)・大炊司(おおいのつかさ:米など穀類の在庫管理など)・菜司(その他食糧品をしっかり保管☆)・膳司(ぜんのつかさ:調理担当です)・酒司(いつでもお酒を準備しまっせ~)・水司(水質管理はキチンとね!)・主殿司(とのものつかさ:建物&調度品のチェック)・薬師所(くすしどころ:病院ですね)・銅造所・鋳物所・嶋造司(しまつくりのつかさ:庭園ならお任せ!)・仏造司・工司(たくみのつかさ:職人たちの監督)・馬司(馬の飼育担当)・犬司(ワンちゃんの飼育担当。長屋王の子どもたちがペットとして飼っていたそうです)・鶴司(鶴の…以下省略。庭園では鶴まで飼っていたらしい…)などなど、グルグルグルグル……(倍速終わり) アチコチ連れ回されて息切れしてしまったくまくまとそのスタッフ。一体この家はどうなってるんだ~~?! 丙さん「(けろっとした表情で)職人に関しては数多いですから、出入りが激しいんですけど……衣料にしても染色から出来ますし、食器や家具も作ってますしねえ」 くま「…………(な、な、何てゼータクな!政治家がそれでいいのか!!)」 丙さん「あ、ちょっと待ってくださいね」 ここで「ちわ~っ」と樽をかかえた運送屋さんが登場。丙さんは「あちらに運んでくれ」と指示して、また戻ってきた。 くま「今運ばれてきたのは何ですか?」 丙さん「あれは牛の乳ですよ。煮詰めて蘇(そ)にすると美味らしいですけど、私のような者は食べたことがなくて」 くま「へえ、牛乳まであるんですか(それより蘇って何かすっごく気になるんだけど……)」 丙さん「あ、すみません、ちょっとまた」 今度は四角い荷を積んだ馬とともにみすぼらしい女性がやって来て、丙さんの指図を受けて急いで向こうへ去っていく。 くま「あの~、アレは……」 丙さん「氷です。最近暑くなりましたから、毎日届けられてますよ。ここには食糧品が山ほどあるので腐らせないようにするのがタイヘンなんです。氷は欠かせませんよー。お家形さま(長屋王)にしても、お酒に氷をいれてたしなまれるのがお好きですしね。ですが、こういうゼイタクが出来るのもここくらいなものですねえ」 くま「どうなってるんだ、この家は~~!!」 気が遠くなる一歩手前のくまくまキャスター。しかしまだ続きが待っている! 次回は「くまくまキャスターの豪邸拝見まだまだ続く!(仮)」をお送りします。 追記:丙さん、政所の職員かどうか分からないのですが、勝手に出演させてしまいました。すみません^ ^; 1986年、そごうデパートの建設に伴って発掘された長屋王邸宅跡からは、約4万点にのぼる木簡(色々なメモが書かれた木の札)が出てきて、当時の暮らしぶりが明らかになりました。この話を高校生のときに先生から聞いて、「考古学ってロマンにあふれてるんだ~~」と誤認(?)してしまい、大学への進路を決めてしまったマヌケな思い出があります。 しかし邸宅跡をぶっつぶして建てたそごうも、閉店の憂き目にあい、世はホント諸行無常ですわ…。 もしよろしければクリックお願いします^-^ 人気blogランキング お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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