|
カテゴリ:カテゴリ未分類
今日はいろいろあったので、雑記など。
世界史の授業がありましたが、最初に少し尼崎の電車脱線事故について思うところを話しました。生徒たちもよほど衝撃的だったのでしょう、いつになく真剣に聞いてくれてました。 亡くなられた方々のご冥福をお祈りすると同時に、原因究明を徹底的に行ってほしいと思いますが、今日話をしたのは、「私たちの社会がいかに不自然なものか」をあらためて痛感した事でした。 電車の運転手さんたちは秒刻みのスケジュールを強いられているそうで、大都市圏ともなれば、わずかの遅れも許されません。しかも大都市圏に住む人たちは、たいていが時間に追われています(むかし山手線の電車に乗り遅れたおじさんが、怒って何かを蹴っ飛ばしていましたが、3分か4分待てばすぐ次の電車がやってくるのに……とあぜんとしたことがありました)。 小さいときに住んでいた香川県高松市では、私鉄は1時間に3本ていどしか走っていなくて、タイミングを外したら15分、20分待つのは当たり前でした。臨時教員として赴任した新潟でも、生徒たちは特におしゃべりするでもなく、のんきに電車が来るのを待っていました。 それが都会に来てみたら、まず電車の長さにびっくりし(高松の私鉄は2両しかなかったんですよ…)、ひっきりなしにやってくる電車の本数に感心したものですが、慣れとは恐ろしいもので、あっという間に山手線オジサンを笑えない状態になっていたのでした。 電車に間に合わないとイライラし、5分待つのがすっごく長く感じる有様で、どこに行っても時間に追われてるような感じがします。これはいけないなあ、と思いつつ、もうそういう体質になっちゃったんですね。 交通手段が徒歩や馬くらいしかなかった時代に比べると、私たちは本当に遠いところに来てしまったような気がします。自然に沿った社会こそ素晴らしい、と讃えるつもりはありませんが(文明の利器なしではもう生きられないだろうしなあ)、あらためて見渡してみればこの現代社会は不自然なところだらけで、きっと私たちの生き方も相当不自然なものになっているのかもしれません…。 この話には結論はありません。ただニュースなどを色々見ているうちに、心に浮かんできた思いをつらつら述べてみただけで、あとは生徒たちの考えるままに任せておきました。(なんて言うとカッコイイんですけど、単に自分の中でも消化しきれてないからだったりする……) もう一つは未来社会の物語。昨日ダンナが浦沢直樹×手塚治虫著「プルートウ」の2巻を買ってきていたので、今日学校に行く前に読みました。 このマンガは、手塚治虫の鉄腕アトム「地上最大のロボット」をベースに、かなり大胆に話をふくらませたものだそうで、稀代のストーリーテラー浦沢直樹さんの真骨頂を見るような気がしました。 帯に書かれてるあらすじをざっと紹介すると…… ロボット人権擁護家と欧州有数のスーパーロボットの殺人。 二つの事件現場に残された”角”のようなコラージュ。 捜査するゲジヒトは、犯人の目的の一つが、彼を含めたスーパーロボットの破壊だと推理する。 警告のため、標的と思われるロボットを次々訪ねるゲジヒト……その中にはアトムもいた!! 一方、トルコの英雄ブランド(彼もまたロボットです)は得体の知れない何かの挑戦を受け、単身戦いの場へ向かう!! サスペンスとしてもたいへん読みごたえがあり、先がすっごく気になるところなんですが、個人的に非常に印象深いのが、出てくるロボットたちの表情です。 捜査官ゲジヒトはつねに虚無感をただよわせ、アトムはどこかさびしそうな顔をしています。殺された、または標的とされているスーパーロボットたちは、皆こころに大きな傷を抱えて生きているのですが、人間でない彼らは、それを忘れることもできず、ずっと生々しい傷口を正視しているしかありません。 戦争に駆り出され、仲間であるロボットを何千体も殺しているうちに、殺意を学んだロボット・ヘラクレスは、しかしその後、ロボットとの格闘戦で相手を破壊できなくなっていました。彼は憎しみの中から”いたわり”を見つけたのです。 同じく戦争に行かされ、3022体のロボットを破壊したモンブランは、ロボットの死骸を前に、ひざをかかえてうつむき、「僕達は、何をやっているんだろう……」とつぶやきます。 著名なピアニストの召使となったノース2号は、ピアノを習いたいと主人に淡々と訴えます。なぜならもう戦場に行きたくないから…と。 日本はロボット大国です。いつか彼らのような知能の高いスーパーロボットが生まれるかもしれません。そのとき、”彼らがいかに生きるべきなのか”、神さまでも解けないような難しい命題を突きつけられるような気がしました。 プルートウの社会もまた、矛盾だらけの不自然な世界です。全体に重苦しい虚無感がのしかかっています。しかしそんな中に、スーパーロボットたちの愛やけなげさが散りばめられていて、ほんとうにこれは泣けます。彼らの一途さが唯一救いというのも、なんか不思議な感じがするのですが。 では次回は日本史日記に戻ります★ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|