バァの啓蟄
バァとダーリンの間では、あまり話がはずまないことがある。基本的にバァが男性は苦手、ということもあるが、もうひとつの理由がわかった。先週のこと、ダーリンの帰りが遅い日が2、3日続いた。ダーリンはかなりお疲れのご様子と、その時いいこと思い付いた大好きなバァちゃんから労いのことばがあると元気でるはず「バァ、ダーリンが帰ってきたら、お疲れさまって言ってあげて~」「うん、わかった」「ちゃんと言える」「言える」「ホント~」「言える」「じゃあ言ってみて」「なんじゃて」「お疲れさま、よ」「お疲れさま」「もう一回っ」「お疲れさま~」…と、練習中、タイムリーにダーリンが帰宅。「バァちゃん、ただいま~」「うん」あれ練習の成果は「バァ、言うことがあったんやない」「おちゅ…モニョモニョ」「えぇバァちゃん何」ダーリンの素朴な質問にバァは少し顔を赤らめ、「うん」あれれ~「バァ、何か言うんじゃなかった」「なんじゃったかいの」そうトボけてみせたあと、蚊の鳴くような声で「おつかれさま…」やっと言った。ははーん、バァはダーリンに何か言うのは照れるんだそういえば私には「おやすみ~」をいうがダーリンには言わないフフフッ照れ屋さんそんなバァをつれて今日、介護認定のため病院に行った。通院は去年の介護認定から実に1年ぶり。途中6月に一度、ちょっと元気がなく点滴往診に来てもらったが一度の点滴で復活した。御年96歳。通院が年に一度とは嬉しい限り「バァ、病院に検診に行く」「あんたも行くん」「うん、行くよ~」「ほんなら、よかった」なんともかわいい病院では先生にも看護師さんにも礼儀正しくお辞儀をし、スムーズに診察は終わったちょっと心配なのは体重が3キロ落ちていたこと。130センチ、27キロあぁ、私のこの体重を分けてあげたい何より嬉しかったのは150で普通、180のときもある、だった血圧が上が127、下80だったこと。往復の移動も飴をなめつつ車酔いもなししかも帰りにはカートを押しながらスーパーでの買いもの、刺身やあさり、りんごなどを次々かごに運んだこんなに元気なのはいつぶりだろう逐一写メをダーリンに送信ダーリンは感涙にむせんだこの1ヶ月の間、私の留守中にキッチンまで歩き、饅頭と伊予柑を食べてダイニングでコケていたという事件もあったがそれも調子の良さのなせるわざとはいえ、一人歩きは確実にコケる状態なのでとりあえず、ベッドの柵を追加し、椅子にはシートベルトをつけて対策。かわいそうだが、『骨折で寝たきり』は絶対に避けたい一緒に軽い運動をしつつたまには元気に出掛ける。それが理想的今、この街にはサーカスが来ている。「バァ、サーカス行く」この言葉にはすごく食いつき、サーカスのチラシを30分も眺め・・・・・・と思ったら、今度はグッタリ「バァ、どうしたん」「・・・寂しい・・・」サーカスから連想して昔のことを思いだしたのか・・・。いずれにせよ、今週末はサーカスに出掛けようこのあたりは、旧暦で祝う雛祭りも、もうすぐそこ