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海産物問屋「きママ」の細腕繁盛記

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2005.07.29
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カテゴリ:趣味   観劇
中村勘三郎襲名披露公演、千秋楽に行ってきました。
夜の部の見所は

「野田版研辰の討たれ」

研屋上がりの武士・守山辰次(勘三郎)を敵と追う平井九市郎・才次郎兄弟(市川染五郎・中村勘太郎)。両者が追いつ追われつする「仇討ち物」の芝居を、野田秀樹が新たに脚本・演出。
舞台は歌舞伎の絵模様はなく、斜面を使った構成舞台風の装置を駆使し、
ある時は、道中に、ある時は、温泉宿に、お寺の境内にと、周り舞台をフル活用。
また、影絵や、群衆演技など、野田秀樹独特の手法に、歌舞伎本来の手法「だんまり」や、「おかしみの立ち回り」を活かして、テンポよくストーリーが展開していきます。
「だんまり」の中には “ウエストサイドストーリー”のパロディーが使われていました。
その演出の意図に則した出演者の軽妙な演技には、観客に爆笑の渦を巻き起こしていました。
このお芝居では、勘三郎の数ある引き出しの中の三の線を出し切っていました。
染五郎&勘太郎の仇討コンビもカッコイイ。
やはり若さとこれからの期待をそそります。
中村橋之助の良寛和尚も見事なでき。もはや、中堅所の役目を果たしているようです。
中村橋之助の兄である福助さんも今回は二役。
奥方萩の方の「あっぱれ」と扇をかざすのも目に焼き付いてしまうものでしたし、道後温泉を舞台にした三幕、五幕の宿客の娘役のコミカルな演技も上手い。
芸達者な歌舞伎役者達を野田流の斬新な演出で裁き、歌舞伎界にもまた新しい風が吹き込まれました。
「これは歌舞伎ではない」との賛否の声も聞きますが、
こんな伝統歌舞伎にも、進化の波は押し寄せています。
市川猿之助さんは何年も前から京劇などを取り入れスーパー歌舞伎を作りました。
また、東京の歌舞伎座では尾上菊五郎が、シェイクスピアの名作「十二夜」を蜷川幸夫演出で上演しています。

このように、伝統歌舞伎も進化しつつ新しい若い客層を掴むべく努力しているようです。

しかし、彼らが賞賛されるのは、古典歌舞伎の基礎・土台があるからこそです。

この、「研辰の討たれ」は、勘九郎時代にも演じたとききますが、
野田版ではなく、本調「研辰の討たれ」も観たいですね。

この日は、千秋楽もあってのことか、カーテンコールが二度ありました。
歌舞伎でのカーテンコールは初経験です。
全員総立ちです。

ラッキーなことに、この日、演出家の野田秀樹氏もロンドンから駆けつけ客席で観劇していたらしく、カーテンコールでは舞台に上がってきてくれました。
舞台で演出家を観るのも初めてです。
ブラボ~♪ブラボ~♪

また、ロビーでは、中村橋之助さん夫人の三田寛子さんが絽の着物を涼しげに着こなし、御贔屓に頭を下げ、梨園の妻をかいがいしくしておりました。
また、彼らの姉でもある、勘三郎夫人は、きゃしゃな身体にもかかわらず、さすがに、重みと粋と御品がありました。

今回は¥4000のプレミア付きの¥25000のチケットです。
(本来は¥21000)
が、¥4000分の価値を取り戻したような気分でした。





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Last updated  2005.07.30 00:01:16
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