カテゴリ:一行の物語
高山植物の花達。
霧に煙る岩と木々の間に、天使が落とした虹の涙のカケラのよう。 一枚ずつの花見らはまるでカミソリの刃のように薄く、 その小さな命の中に鮮やかな色を宿している。 まるでアイスコーヒーにクリームを上から垂らしたときのように ゆっくりとからみつくように雲の水蒸気が身体を包んでいき、 遠くの頂きも、さっきまでの人影さえも、もう見えない。 そんな中で、その岩のそばの小さな庭で咲く花達はあまりにも美しく、 まるで魔法の森に迷い込んだように、僕の現実味と、平衡感覚とを取り去ってしまった。 このかすかな美しさはどこから来て、どこへ行くんだろう? この短い命は誰が認め、誰の心の片隅へと残るだろう。 そのか細い茎と花びらを誰が愛すのだろう。 小さな花と手のひらを見ていたら、自分の心臓の音が聞こえてきた。 ”大切なのは人生の山の頂を極めることではない。その山の中でのほんの些細な出逢いをどれだけ愛することができるかだ。。” お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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