テーマ:最近観た映画。(39166)
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2003年、日本、清水崇監督。
かつてヴィデオでヒットし、いまハリウッドでリメイクされ公開されている人気ホラー作品です。 私は、『呪怨』シリーズは、本日のテレビではじめて観たのですが、正直いってあまり”怖さ”は感じませんでした。 本作品はストーリーが淡白で、したがって”空気”でもって恐怖心を湧き上がらせる、そういう雰囲気は希薄なのです。 幽霊・超自然といたアイテム、物陰や背後といった空間設定、血やメイクによる視覚効果、不気味な音などによって”怖さ”が演出されています。また、冒頭から「くるぞ、くるぞ」と思わせておいて、なんのケレン味もなく「はい、どうぞ」という具合に怨霊が登場します。 これは、かつての楳図かずお氏などの「少女漫画」ホラー、最近では「トイレの花子」さんやRPG、そういったノリの作品で、心の底から怖さが湧きあがってくるというより、心地よく鳥肌がたつといった雰囲気の仕上がりになっています(これはこれである種の”快感”を覚えますが)。 ホラーやオカルトの怖さを、私は二種類に分けて考えています。 一つは、精神的な怖さで、もう一つは、肉体的な怖さです。 精神的な怖さというのは、人間心理の深層に潜んでいる残酷さ、脆弱さ、怨恨などを抉り出してみせて、それらを観客自身に投影させることによって(観客自身の心にもああいった面が潜在しているのか、といった具合に)共感的に恐怖させものです。 肉体的な怖さは、暴行するとか傷つけるとか、身体的に死を示唆して恐怖させるものです。 精神的な怖さは”空気”や”雰囲気”によって心理的に、肉体的な怖さは”血”や”死体”によって視覚的に表現されるのが一般的です。 それで、『呪怨』ですが、題名からすると、この作品の本来のテーマは精神的な怖さの表現にあるのではないでしょうか。ところが、この映画では、肉体的な恐怖の手法が多用されており、どうもテーマと手法との間でバランスを欠いているようですね。 この原作(小説)やヴィデオ版を見て既にストーリーの細部やテーマを理解している人、または、肉低的・視覚的なシーンのみで十分にホラー映画を堪能できる人にとっては、面白い作品なのでしょうけど、私のようにそうでない人にとっては物足りなさが残る作品でしょうね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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