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書名 物語 スイスの歴史
著者 森田 安一 出版社 中央公論 ISBN 4-12-101546-0 W杯ドイツ大会での私の注目チーム、スイスの登場です。 スイスと言えば、永世中立、スイス銀行、スイスアルプス、時計産業といったものが真っ先に浮かびます。 ですがスイス出身の有名人、というのが実はあまりいません。ウィリアム・テルは架空の人物らしいので、本書でも取り上げられていません。 多くの歴史書は、多かれ少なかれ、編年体を主体としながらも、紀伝体の要素が盛り込まれる物で、多くは王族や有力貴族などの活動を中心に語られる時代、というのがあります。 ところが本書は、そう言った部分がほとんどありません。もちろん、著者の方針もあるのでしょうが、それ以上に「自治を守る、直接民主制による自立した住民」によってスイスの歴史が作られてきたことの証しなのでしょう。 複数の自治都市や自治農村部が幾多の協議を重ねながら、時には戦争をしながら、スイス盟約者団というゆるやかな連合体を維持し、周囲を取り巻く諸外国からの干渉とも戦い、妥協しながら、自治を決して失わず、永世中立国たる現在のスイスを形作って来た様は、ほぼ常に「上からの支配」に柔順な我々日本人とは対局にあるように思われます。 それとイタリア史に興味を持つ立場としては、スイスと言えばミケランジェロデザインのカラフルな制服が有名な、ローマ教皇の衛兵が思い出される、諸外国での傭兵としてのスイス人です。本書を読んで改めて、スイス人が自国の防衛以外の局面で多くの欧州域内の戦争に駆り出されていた様が伺えます。 その発生理由が、国内に農地が少なく、傭兵で外貨を稼いで食糧を輸入せねばならないからだとは、驚きです。 もちろん、ヴィッセル神戸の初期からのファンならば、スイス人助っ人、トーマス・ビッケルを連想されることでしょう。 W杯後でいいので、ビッケルルートでスイス人プレーヤーが来てくれないものでしょうか? さて、話がそれましたがスイスの歴史はなかなか興味深いです。 ただ、物語としておもしろく書かれているか、というとそれはいつもながらいまいちです。 とは言え、注目チーム、スイスの国民意識を知る上では、有益であると言えるでしょう。 <総合評価> お薦め度 ★★★☆☆ <個別項目評価> 図表充実度 ★★★☆☆ 数は多くないが、重要な地図がちゃんと 載って乗っている (時代ごとの勢力圏の移り変わりなど) 物語の出来 ★★☆☆☆ 年表の出来 ★★☆☆☆ 重要な日付を載せている点が特色 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年03月28日 18時48分14秒
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