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書名 物語 ドイツの歴史
著者 阿部 謹也 出版社 中央公論 ISBN 4-12-101420-0 いよいよ開催国、ドイツの歴史です。 先日酷評した『物語 オーストラリアの歴史』の著者に参考にして欲しい本です。無論、語るべき材料の多少はあるでしょうが、そもそも視野に入れている範囲が大きく違います。 著者がドイツ文化に対して大きな興味を抱いていることもあり、文化史についての記述も多くあります。経済的な視点も重要です。 そして何より、「ドイツ的とは何か」という副題が示すように、著者の関心の中心はドイツ人の精神的構造はどのように醸成されて来たかということであり、それを説き明かすために『個人』と社会、政治との関係という視点を常に意識しています。 そしてもちろんドイツは宗教改革運動の主要な舞台であり、その過程においていかに社会が変化して行ったか、に多くの紙片が費やされています。 私が昔歴史を勉強した時は、ヨーロッパの中世というのは宗教的抑圧と、繰り返しの戦争、そしてそれによる飢餓、ペストとネガティブなイメージに覆われた時代でした。 しかし著者の描く中世ドイツは、そういったネガティブな空気の中でいかに人々が精神性を発達させ、そして近世への変貌を準備していたかにあふれています。 著者は中世史が専門のようで、中世に関する記述の充実振りの割りには、近世・現代史はあっさりとかかれています。 まあ本書の価値はやはりドイツの中世がいかにあったか、ということでしょう。 物語としておもしろいか、というとやはり説明的記述が多いこともあり、そういった楽しみ方はできませんでした。 しかし、興味深い一冊ではあったと思います。 <総合評価> お薦め度 ★★★☆☆ <個別項目評価> 図表充実度 ★★☆☆☆ 複雑な支配地の権力変遷を地図に して欲しい 物語の出来 ★★★☆☆ 興味深い。書き手の技量は別として、 そこに流れる歴史は物語であった 年表の出来 ★★★★☆ ある種、理想的な年表。 政治、経済・社会、文化、他の世界に ついて並列に記述されている 惜しむらくは、上記の見出しが全ページに ないことか お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年04月06日 08時15分32秒
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