本当の美しさを求めてーかぐや治療院

かつてのSF映画「ミクロの決死圏」ではありませんが、体内を自在に移動して患部にピンポイントで治療を行えるような微小サイズの「マイクロマシン」「ナノマシン」の実現をめざしての研究が活発に進められています。
（関連書： Nanomachines by Joseph Wang, 2013）

不妊に悩む夫婦は世界に数多くいます。
卵子の質が悪いこと、子宮内膜症をはじめとする子宮の病気など、女性が苦しむ場合が多いのですが、報告される事例の２割ほどは、実は男性側に原因があるといいます。

不妊治療と言えば『体外受精』や『人工授精』という方法が一般的ですが、どちらも成功率は約20％ほど。また、特に最近注目されているのが、男性の“精子の運動性の低下”による不妊問題なのですが．．．精子が少ない、奇形である、精子の動きが悪いといったケースです。


アメリカ生殖医学会の報告によれば、不妊に悩むカップルのほぼ半分で男性側に不妊の原因があるということです。精子に元気がなくて卵子までたどりつけないのが主な原因の一つであるとか。

世界で広がる不妊症。中でも“晩産化”が進む日本の状況は深刻です。今や男性の10人に１人が精子に問題を抱える時代。男性も不妊とは無縁ではありません。

精子は思わぬところでダメージを受けています。男性不妊の専門医のアドバイスや、国内外の研究結果を基に、あなたの精子を守るための方法をご紹介します。

（1）ストレス
ストレスを継続的に感じると、ホルモンのバランスが乱れると言われています。
ストレスの影響により、精子の活動性が落ちたり、精子の質が低下したりすると考えられています。また、精子の生産にかかわるホルモンの分泌量が低下することもあります。

（2）肥満
BMI値が高い男性は、精子の量が少ないというデータがあります。これは、精巣の周囲に脂肪がついているために、精巣が温められてしまうのが要因と考えられています。
※極端なダイエットは健康を害します。普段より意識的に歩いてみるなど、無理のないダイエットをしましょう。

（3）飲酒
アルコールの過剰摂取は、精子形成にマイナスの影響をもたらす可能性があるので、避けたほうがよく不妊の要因となることがあります。アルコールを習慣的にのむ男性の場合、精子の劣化や濃度の低下、精子の奇形などが見られることがあるともいわれています。
飲酒はストレス解消には欠かせませんが、量は控えめにしましょう。

（4）タバコ
男性のタバコは精子の奇形や活動性の低下などのもととなるといわれています。タバコにより、体内に一酸化炭素が入り、体内の器官が酸欠になることにより、精巣の機能が低下すると考えられているのです。急にタバコをやめるのは難しいので、少しずつ量を減らすか、禁煙外来をご受診ください。
また、受動喫煙も不妊の原因となります。非喫煙者の方も、十分に注意してください。

（5）熱
精子は熱に弱い性質を持っていることから、精巣が温まると精子の質が低下するとされています。サウナや熱いお風呂での長風呂を避けるなど心がけましょう。高温のサウナも精巣を熱にさらすことになってしまいます。熱くなったサウナのいすに座ると精子は熱に弱いため、精巣が必要以上に温められると、質が低下したり、奇形になったりすることがあると言われています。

（6）外食・ファーストフード
コンビニ弁当や、ファーストフード、冷凍食品ばかり食べていると、栄養が偏り、精子の量を減少させたり、動きを鈍らせたりすることにつながると言われています。外食での食べ物やファーストフードに依存してしまうと、化学調味料や添加物などの過剰摂取にもつながります。

（７） ブリーフよりもトランクス
英マンチェスター大学と英シェフィールド大学の共同調査によると、ボクサーパンツなどタイトな下着をはいている男性の精子数は、そうでない男性より少なかったそうです。ブリーフでは体温がこもり精巣の温度が上昇しやすい。温度上昇を避けるには、通気性のよいトランクスがお薦め。

（８） 膝の上にノートパソコンを置く、スマホを長時間ズボンのポケットに入れっぱなしにする
パソコンが持つ熱や、スマートフォンから出る電磁波が、精子に悪影響を与えるという意見もあります。

（９） 自転車・バイクに乗りすぎない
サドル先端部分による会陰部の圧迫、肌に密着したトレーニングウエアによる体温上昇などが、生殖機能へ影響を及ぼす可能性が指摘されています。自転車がＥＤを招くリスクを報告する研究も多い。自転車やバイクに乗りすぎるのは避けたほうがいいでしょう。

さて、男性の不妊問題を解決するために、ドイツの研究グループが「精子ロボット」と呼ばれる超小型の金属製ロボットを考案しました。
独ドレスデンのライプニッツ固体・加工材料研究所が、精子の泳動をサポートするマイクロロボット、Spermbot（スパムボット）を発表しました。チタンでできた微細なチューブ構造をしており、磁場を利用して泳動の弱い精子の卵へ到達をサポートします。
Spermbot のチューブは螺旋形状になっています。ここに回転磁場を与えることによって Spermbot を回転させ、精子を後方から取り込みます。

そして磁場の方向を変えることで自在に進む方向をコントロールすることが可能となります。実験では、Spermbot で精子を卵子へと導き、そこで精子をリリースすることができました。
　
実験ではうまくいったものの、研究チームはまだ臨床試験などには多くの確認作業が必要だとしています。とはいえ、精子に元気がない人でも受精の確率が高くなるであろうこの技術、少子化対策のためにも、早い時期の実用化に期待したいものです。

このマイクロロボットは、強磁性体の薄膜を丸めた長さ50μmの細いマイクロチューブの空洞部分に、精子細胞が「頭」を突っ込んだ構造になっています。

磁力によってマイクロチューブの方向を操作することができ、精子の鞭毛運動を推進力として前進します。実験では、液体中を10 μm/s前後の速さで進み、１時間以上にわたって動き続けることが可能と確認されました。

この実験には直接関わっていない、カナダ・トロント大学機械工学准教授のエリック・ディラー博士は、「今回のようにロボットを他のものに組み合わせるハイブリッドな手法は、効果的なマイクロロボットを作るための道筋をつけるでしょう」とニュー・サイエンティスト誌のインタビューで語っています。

その際に大きな技術的課題となるのが、そのように微小なマシンにどうやって推進力を持たせるかという点で、さまざまなアプローチが試みられています。



→ウシの精子と卵子

今回開発された『Spermbot』は…

回転磁界で制御する、螺旋状の小さな金属を使って精子をサイボーグ化させるというモノです。
簡単に言えば泳ぎが下手な精子にエンジンを搭載 → 爆発的な推進力を得た精子 → 卵子まで一直線！
という仕組みとなっています。

なお、螺旋形状になっている『Spermbot』のチューブは、回転磁場を与えることによって…



回転を始め、精子を後方から取り込みます。





また、精子の頭部ではなく、尾に巻き付くように設計されており、磁界を操作することで制御する事が可能となっています。





↑コチラは実際に行われた実験の様子ですが、精子の背後から忍び寄る『Spermbot』は、なんなく精子をキャッチ！


すると、推進力を得た精子は、先程とは比べ物にならない速さで動き出します。



ちなみに『このまま卵子に到着すれば、拒絶反応等が起きるのでは？』と思われた方も多いかと思いますが…


卵子に到着した直後、『Spermbot』の回転を逆回転させることで…問題なく取り外しに成功！




同グループでは、人工授精やドラッグデリバリー（医薬品の体内動態を改善させる）への応用が期待できるとしています。

開発者たちによると、ロボットは精子が受精すると同時に、精子から離れるよう設計されているとのことで、女性の膣の中と人工授精、どちらでも使用できるよう開発を進めていく予定だそうです。

実験ではうまくいったものの、まだまだ問題は山積みであり、臨床試験など、多くの確認作業が必要だと言われている『Spermbot』ですが、とはいえ、精子に元気がない人でも、受精の確率が高くなるであろう…この最新技術。これは期待感が高まりますよね。


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