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本との関係記

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2005/08/03
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 先日、モブ・ノリオ『介護入門』を読んだ時、小説を読んだ気にならないとか、介護描写以外のつまらないところが多すぎるとか散々書いたような気がするけれど、老人介護のことについては、色々と考えさせられるところがあった。いずれ間違いなく他人事ではなくなるもの、普段は意識しないようにしているが、いつかは必ず向き合わねばならないことだから。


日本ほど老人を礼遇している国はない。「寝たきり老人」の激増は、やはり”人災なのだ。――日本各地の老人ホームでヘルパーの体験を重ね、英、米、スウェーデン、デンマーク、シンガポール等の高齢者施設に住み込んだ二九歳の著者は、こうした思いを深めていく。若い感性とあたたかい眼差しがあふれる、さわやかな体験報告。

カヴァー見返しの紹介文



 著者の若さに驚く。それでも出版は1991年だから、今では43歳かあ、その後どうしたのだろう、と検索したら、なんと政治家になっていた。貼ることは控えるが、本書の最後で、「結局、政治が変わらないと、福祉を良くすることは不可能だ」と言っていた通り、福祉社会の充実を目指して頑張っているらしい。こういう人もいるのだ。
「寝たきり」(本書では途中から「寝かせきり」と表記変更)になる原因は、寝かせたままにするから。病気だから、痴呆だからといって、まだ足腰の強い人まで寝かせたままにしては、身体も頭も弱り、いいことはない。欧米でリハビリセンターが充実しているのも、結局は寝かせたままより、出来ることはさせておくことが、ヘルパーの負担減に繋がるのだ。ヘルパー一人当たりの受け持ち人数が多く、ひたすらおむつ交換に追われる日本の老人病院の状態でこのまま行けば、行き詰まることは目に見えている。
 他国と日本では事情が違うことは分かっているので、一概に弾劾・早急な発展を望む、というような極端には走る気はない。14年前と今とではいくらか事情も変わっているのかもしれないし。
「お年寄りを大切にする」「老人の面倒は家族が見る」という、一見良いことに見える伝統が、福祉について考えることをおざなりにしていた、というのには頷ける。いつまでも大家族社会ではない。一人っ子の子供が将来、両親を介護する歳になった時、どこかに預ける財力も、自分で世話する時間も力もない時、福祉に頼るしかないわけだから、早くから考えておかなければならない。
 だけど出来ればもう少しこの問題のことは忘れていたいなんて逃げてしまいそうだけど。選挙の時には、福祉関係について考えている人に目を向けようか、などと思う。だけど政治のことを言い始めたら、問題は福祉だけじゃないわけで。そうするとまたそっちの方面の本も読まなくちゃいけないと、妙な平衡感覚を持ってしまう。
 しかしこれを書いたのが29歳だと思うと、何度も唸ってしまう。


岩波新書  1991年





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Last updated  2005/08/04 02:22:59 AM
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