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テーマ:英語を仕事にもつ(12)
カテゴリ:英語・翻訳
今日の話は、「聞く英語」の話で、くれぐれも「話す英語」で真似をされないよう、最初にお断りする。
通訳の養成学校に通っていたとき、ディクテーション(書き取り)の課題が出た。 確か内容は、アメリカ議会のことを報じたCBSか何かのテレビニュースだったと思う。 途中何度かポーズがおかれ、全体を3回繰り返して聞く間に全文を書き取るのだが、その中で最後までわからない単語があった。 「セナー」(…のような発音の語) 前後関係から推測したり、頭の中に蓄えられている記憶を必死でたどったりして「セナー」が何を意味するのか考えたが、わからなかった。 解答を見ると、なんと「center」だった…(- -;。 centerなんて、英語を勉強したことのない人でも知っている語なのに…。 あ然…そして、がっくり…だった。 いちおう断っておくが、そんな簡単な語も聞き取れないくらいのリスニング力だったのかというと、center以外の語はたぶんすべて書き取っていた。アメリカ議会独特の様々な専門用語なども…。 「セナー」=center そのときのアナウンサーがそういう癖のある発音をする人なのかと思ったが、その後様々な異なるジャンルの英語を聞くうちに、centerを「セナー」のような音で発音する人がほとんどといってもよいほど多いことに気づいた。 そうか、「セナー」(←決してカタカナをそのまま読んだ音ではないが…)は「center」だと思っていれば、いいんだ。 …と、その時はいったん納得した。 その後、英語の発音について書かれた本を何気なく読んでいたところ、まさにこの現象を説明する文章に出くわした。 「(アメリカ英語において)[n]とストレスのない母音に挟まれた[t]は脱落する(ことがある)」 (とある言語学の論文集から引用しているが、たいていの音声学の本には、同じ内容のことが書かれている…用語などは異なる場合もある) つまり、「center」の[t]は、直前に[n]があり、直後にストレスのない母音があるために脱落する(ことがある)ということである。 同じ音声ルールに当てはまるのは、winter, counter, hunter, twentyなどなど。 それぞれオーバーに読むと「ウィナー」「カウナー」「ハナー」「トゥウェニー」のような発音になる(カタカナをそのまま読んだ音とはかなり違うし、このような発音をしない人も多いが…) これはあくまでもアメリカ英語の話で、イギリス英語では「t」の音はかなりはっきりと息を出して破裂させることが多い。アメリカでも、地域やクラスによって、このような発音をしない人ももちろんいる。しかし、「center」に関しては、ニュースのアナウンサーでも「セナー」に近い発音の人がとても多い(アメリカでは)。 イギリスでは発音だけでなく、スペルも違う(centre)。 後で考えてみると、「セナー」がわからなかった当時の私は、(ホームステイをしたあとだったし)イギリス英語に触れた経験のほうがアメリカ英語よりも多かったのかもしれない(言い訳?…ですね)。 「t」の変化に関しては、アメリカではもっと幅広く見受けられる現象なので、また気が向いたらその話もするかもしれない。 ただし「セナー」を含め、「t」音の変化は、あくまでも「聞く英語」の話であって、ノンネイティブが「話す英語」で真似をすることは決しておすすめしないことを繰り返しておく。(でも、毎回こんなことをくどくど書くのも疲れるので、もう書かないかも) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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