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カテゴリ:日記
今から30年近く前、上司から 「仕事が終わったら一杯やろう、先に行って待ってて」と 言われてよくお邪魔していたお店である。 現在、熊本市の繁華街のあるビルの地下に看板がひっそりと残るだけである。 当時は70歳代の大将と女将さん(ご夫婦ではなかった)の 二人で切り盛りされていた。 席はカウンターのみで5人やっと座れるくらいの小さなお店だった。 そして失礼だが決して綺麗なお店とは言えなかった。 それでも大将と女将さんの穏やかな表情から生まれるお店の雰囲気と 低価格の飲み代は皆に人気があった。 当時は掛け(一ヶ月分がまとめて請求される)で飲んでいたので給料日には 職場の誰からか請求書の入った茶封筒が届いた。 律儀な女将さん、請求書は5円単位まで計算してあった。 高齢なお二人、いろいろと体調やらそのほかの理由もあったのだろう、 お店を閉じることになった。 一人で飲みにいったとき女将さんから 「お願いがあるんだけど残っているカケの請求書を配ってもらえない」依頼された。 私は断る理由もないので承諾し残された売掛金の回収をすることになった。 集まったお金を持って行くと女将さんからお礼として 肥後象嵌のネクタイピンを頂いた。 数千円すると思われるであろう立派なものを恐縮しながらも有り難く頂いた。 でも何時の日からかそのネクタイピンの行方がわからなくなった。 どんなにどんなに捜しても見つからなかった。 思い出詰まるネクタイピン、失くしてしまったことを 大将と女将さんに申し訳なく思っている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012.01.16 23:58:05
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