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koike1970

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2012.05.17
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カテゴリ:雑記
 祖父の葬儀から帰って背広を1着捨てた。
 10年以上も前に作った物である。会社員を辞めた後もずっと持っていたのは色が黒かったからである。実際にその背広を着て葬儀に出たことが何度かある。
 ところどころに損耗があった。ズボンの前ポケットあたりには表側の生地が擦り切れて裏側の白い生地が見えている箇所がある。最後に着用したときにはそこを油性ペンで黒く塗ってごまかした。

 1着捨てたことで勢いがついた。同じ頃に作った別の背広も捨てた。
 こちらは単純に気に入っていたから残していた。テーラード・カラーのベストも一緒に作ってあった。自分としてはちょっと特別な服のつもりだった。損耗は多少あるがそれほど目立ちはしない。大事に着ていた。
 でも捨てた。
 数日前外出する際に着てみたところ思わず声が出た。「古臭い。」
 ジャケット…肩が広い。ラペルの幅がある。丈が長い。
 ズボン…ウエストの位置が高い。全般的に太い。
 これはダメだ。今日限りで捨てよう。外出から帰って脱ぐとすぐゴミ袋に入れた。

 新しい背広が必要になった。冠婚葬祭に着られる服がない。
 どこか気楽に発注できる洋服屋さんがないものか。探してみると自宅から自転車で行けるところに1軒ある。電話をかけて尋ねてみると値段も安めである。
 一昨日その洋服屋さんへ行ってきた。「右の肩が下がっていますね」「お尻が大きいですよ」「脚のつけ根が太めです」と身体の特徴を耳にしながら採寸されるのは結構面白い。「うーん…あと5mm袖は短くしてください」「裾19cmはちょっと細過ぎなので20cmに」とお願いができるのも楽しいところだ。

  あたらしき背広など着て
  旅をせむ
  しかく今年も思ひ過ぎたる
  (久保田正文編『新編啄木歌集』岩波文庫 1993年 p.37)

   旅上

  ふらんすへ行きたしと思へども
  ふらんすはあまりに遠し
  せめては新しき背広をきて
  きままなる旅にいででみん。
  汽車が山道をゆくとき
  みづいろの窓によりかかりて
  われひとりうれしきことをおもはむ
  五月の朝のしののめ
  うら若草のもえいづる心まかせに。
  (三好達治選『萩原朔太郎詩集』岩波文庫 1981年改版 p.31)


 新しい背広。6月の上旬にできあがる予定である。待ち遠しい。
 別に旅行をしたいとは思わない。旅行はそれほど好きではない。





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Last updated  2012.05.18 11:55:02


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