カテゴリ:国語
前思春期ってこんなに言葉を飲み込むものだったかな・・・というのが正直な感想でした。この本には語られる空虚な言葉と、飲み込まれた雄弁な真実がDNAのらせんのように絡み合っています。そしてもどかしさを感じ続ける本です。
言外の言葉の真意を問うということができるので、素材文としてはかなり使いやすい文章でしょう。転々と移動する主人公達ですので、一まとまりに場面も切り取ることができます。文章も達者で平易で破綻なく、しかも行間を正しく解釈する訓練にはもってこいです。 そして私は主人公の女の子の気持ちには沿えず、出番は少ないものの、影のように物語全体に影響を及ぼしている母親の方の気持ちに沿いながらずっと読んでいました。 ・・・そう、そこで子供の言葉を聞かないといけないのよ。たとえ沈黙であっても聞かないといけないのよ。でも口からあふれてくるのは夫への不信と子供を返して欲しいという焦りばかり・・・ 多分、思春期や前思春期のもどかしさ、辛さを感じているお子さんなら、願望をのせつつ読むことができるでしょう。敢えて少女であることを匂わせずに、子供の第二次性徴直前の不安定さ、親に対するシビアな観察に共感をもつことができると思います。 男の子が読むかなぁ。友人関係で煮詰まっている男の子なら読むかもしれません。しかし、クールボーイは人の気持ちが分からないそうなので、こんなに黙っていて饒舌な気持ちによりそうのは難しいでしょう。 残念、pendhingです。 かしこ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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