カテゴリ:国語
読書は好きだけど、国語がね。そういう場合には「情感読み」や「流し読み」に走っていて、「分析読み」ができていない可能性があると私は思います。
「情感読み」は”主人公の気持ちになって”楽しみながら、浸りながら読む手法です。とても読んでいて楽しい。大部分の方は小説を「情感読み」なさるでしょう。それでいいのです。自分の中のあいまいだった心情を主人公のそこここの表現に重ねて読む。 「情感読み」するタイプの方は試験会場で女優のように自分を主人公になぞらえて、なりきって答えるといいでしょう。読むスピードも速いと思います。 難点は論説文に対応できないことと、自分とまるで違うタイプの主人公だったときに女優になりきれないことです。私は「情感読み」タイプでした。そして試験当日。小説文の主人公が中年の男性だったとき、演じきれずに脱落しました・・・。 「分析読み」は素材文を客観的に読む手法です。そのために文章を刻み、主題を表すキーワードを拾い、前後関係や相関関係を読み取る接続詞や代名詞を分析しながら読みます。だから少し時間がかかります。イメージとしては我々の世代が英語の授業で精読していく感じです。この手法は論説文に特に有効ですが、小説文でももちろん精緻に読み解くことができます。この手法については古い本ですが 「文学部唯野教授」筒井 康隆 氏 出版社: 岩波書店 (2000/01) ASIN: 4006020015 の講義テキストの部分が参考になります。文学部の方でしたら多分もっと適切な本をご紹介くださることでしょうが、何分専門外ゆえご容赦ください。 「情感読み」と「分析読み」は「主観読み」と「客観読み」と言い換えてもいいでしょう。素材文と自分との心理的距離の違いが読み方の違いにつながります。書いてあることは本当だと信じている素直なお子さんには「分析読み」を算数の解法のように、外国人が日本語を学ぶときのように、文法的な説明をしていくといいのかもしれません。 一方、本好きの「情感読み」派でも多読乱読で幅広い読書をしていれば、対応できることが多いものです。読書はするけれど国語が伸びないというお子さんの読書傾向は自分が共感できるものに偏っていることが多いです。趣味の読書ならばそれで構いません。読書は人生を豊かにします。しかし、教養の読書では偏りは困ります。偏っていることを自覚した時点で、近代の文豪の作品に親しむべし。広くね。 理想的には両者を場面場面で使い分けることができれば素晴らしい。残念ながら両者並立は難しい。どちらかに偏るものです。 社会人になったときには「客観読み」をしつつ、背後にある人間関係に思いをはせられるとかなり上等です。私は「情感読み」派です。理科系の論文を情感を込めて読むとなかなか楽しめます。酵母あたりまでなら主人公に共感しつつ読むのもいいかも。黴菌だと・・・中年の男性とどっちが辛いだろう? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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