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予防に勝る治療なし、という観点から書かれた感染症の本です。
感染症 井上 栄 著 出版社: 中央公論新社 (2006/12) ISBN-10: 412101877X ISBN-13: 978-4121018779 古くて新しい問題、感染症について、基本から防疫、予防に至るまで、丁寧に読み解いていく本です。歴史的な人類と感染症との戦いも分かりやすく書いてあります。 水洗トイレや塩素消毒など、感染症対策に劇的な効果を上げた生活革命についても効果や効果をあげた理由について冷静に医学的な観点から書かれています。 未だ感染症の危機は去っていないこと、新しい環境が生み出される毎に新しい感染症が蔓延すること。などは今後の生活を考える上で参考になります。 また、「論理的なものの見方」が明確に打ち出されていて、揺るぎない点も読みやすさの一つです。もちろん「過去にあったできごと」を整理して述べているというのが他の科学書に比べると分かりやすい理由でもありますが。 この本はなんと言っても文章が練れていて、読みやすい。小学生でも学力が高いお子さんなら食いつけるのではないでしょうか。第二章「清潔化の歴史」は科学史のエッセイとしてお勧めできると思います。 やや保守的ではありますが、第六章の「エイズ/性感染症」は中高生に読んでいただきたい文章です。モラルを全面に押し出すと反発を感じるかもしれませんが、若い諸君の未来を守るという点で、感染症にかからないに越したことはありません。HIVへの感染は2006年度に新たに952件報告されており、過去最高だそうです。(厚生労働省エイズ動向委員会より) 新書には珍しく図が多用されています。26ページの図表1-6などは読解が十分できているかどうかのチェックに使えると思います。 医療関係者を目指しているお子さんなら小学生~高校生まで、お勧めです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.06.28 14:40:56
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