【2】『エリカ』
『エリカ』 小池真理子・著 <83>恋におぼれながら、私の愛は渇いていく……。小さいながらも会社を経営し、都心の高級マンションで一人暮らすエリカは、急逝した親友の不倫相手・湯浅と出会い彼との逢瀬を重ねていく。高ぶるほど空虚、充たされるほど孤独。現代の愛の不毛に迫る長編恋愛小説。との本の紹介。親友の恋人に、葬儀の日に熱い目でみられ、次の日に誘われるって・・どうなの!?女が歓びそうな言葉を並べ、押しては引いての駆け引きが上手い男って・・・信じられないなぁ。でも、恋に落ちるのに理由なんてないし、わからなくはないけど。 「一生懸命、自分を抑えて、夜になるのを待って、 この時間まで我慢して、我慢しきれなくなって電話しちゃってるけど、 ここに至るまでは血の滲む努力があったんです」そんなこと・・・言われちゃねー。 振り返りもせずにまっしぐらに向かって来て、 ふっと足をとめる。そっぽを向く。 その時点で、どうしたのだろう、 と女に思わせれば勝負がついたも同然で、 結果、女は男の思うツボになるのである。やだなぁ・・でも、そうなってしまうのもわかる。 愛は捧げた分だけ奪うものだった。 そして、その均衡が保たれてこそ、初めて成立するものだった。 エリカにとっては、それこそが愛なのであり、 求めるものが与えられない関係、 互いが互いの中にあるものを真摯に奪い合おうとしない関係は、 すべて不毛なものにしか感じられないのだった。うーむ・・・それもわかるなぁ。でも、なかなかそううまくはいかないのが恋愛というものでして・・・。結局、エリカは湯浅と違和感を感じて離れていくのだけど、その湯浅の怪しさ、そしてゆれるエリカの心を一番知っていたのが、盗聴器をしかけた若い男だった、というオチ?がついていて、最後もなんだか切なく終わる。うーん・・・こういうこともある・・・のかなぁ?