カテゴリ:フリーランスライター
今ではとても考えられないことだが、私がフリーランスライターになった50年近く前は
タバコを吸うことが「かっこいいことだ」と思われていた。そしてそれはバブル期以降まで続いた。 ドラマでは主役のイケメンが紫の煙をくゆらせるシーンが、当たり前のようにあった。 編集部では、どこを向いても原稿用紙を前にタバコをくわえている編集者ばかり。 女性も当たり前のように吸っていた。 女性の場合は、男社会の中で同等に仕事をしている、という自負の現れであったようにも思う。 そういう私も、25歳くらいの時だろうか、かっこいいからとタバコを吸い始めた。 女性に似あう、細めのメンソールを持ち歩き、人前であえて吸う。 とはいえ、肺までは送り込めずにふかすだけ。ポーズを決めたくてバッグに忍ばせた。 取材相手の女優や女性の歌手も、当たり前のようにタバコを吸う。 ただし、吸っているところをカメラに納めることにはマネージャーがNGを出す。 やはり女性がタバコを吸うのは、純情なイメージからはかけ離れてしまうからのようだった。 私の場合はタバコが少しもおいしいと思えず、数か月でやめた。 それどころか、29歳の秋に突然、気管支喘息になってから、タバコの煙は発作に繋がった。 同じ室内にいる人がタバコに火をつけると、きまって喘息の発作が出る。 もともとは咳が出にくく喘鳴が苦しいというタイプの喘息持ちだが、タバコ(線香でも)の煙を吸うと咳き込む。 そうなってからは、編集部での原稿書きや、煙がもうもうと立ち込める場所での取材がきつかった。 でも、取材相手に「申し訳ありませんが…」と打ち明けるわけにもいかず、 ただし、咳き込む私を見て相手が気を遣ってくれることがほとんどだったので、 なんとなく無事に取材や打ち合わせは済ませられた。 昨今、タバコを吸うことの害や、副流煙の怖さが知られ、禁煙が当たり前になったのは、ありがたい。 駅のホームでも禁煙。昔はホームで吸って、電車に乗り込む前に線路に捨てる人は多かった。 禁煙になってすぐは、地下鉄の階段を上がって地上に出たとたん、多くの人がタバコに火をつけた。 これはとても辛かった。 階段を上がって少し息が上がっている状態で、煙が流れてきたからと息を止めるのは難しい。 それも、ここ数年はほぼなくなった。クレームがどこからか来たので灰皿を撤去っしたからなのか。 どちらにしても、今、タバコを吸う人が減って、とても助かっている。 多くのヘビースモーカーだった仕事仲間が、肺がんになって、彼岸の向こうに旅立った。 僕は私は大丈夫だと言っていたのに、肺疾患で旅立った。 今喫煙者である人。どうか、少しでも減らしてほしい。 肺がんや呼吸器疾患で呼吸がしづらくなるって、とても辛いことだよ。 溺れるような感覚なんだよ。 喘息で呼吸困難に何度も陥ったことがある、私の、思い。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024年06月06日 12時00分12秒
[フリーランスライター] カテゴリの最新記事
|