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カテゴリ:大切な物
ずっと、ずっと、しまいこんでいたパジャマを出した。 お風呂上りに袖を通す。
救急車で閉鎖病棟に搬送された時に着用していたもの。 当時の苦しかった事が思い出される。 救急車を乗り継いで搬送を受け入れてくれた病院。 受け入れてくれてありがたかった。 付き添いの人もなく、ひとり搬送される車内で、救急隊の人が手をにぎってくれた。 今になって落ち着いて思い出す。 どれだけ、こころが落ち着いただろう。
ナース室に一番近い、重症患者の部屋に入った。 父・母・弟が深夜になってやってきた。 母は泣いていたように思う。 目も満足に開けない。 何も会話はしていなかったように思う。 ただ、涙があふれた。 それは、ほっとした涙、申し訳ない涙だったように記憶している。 翌朝、看護士さんに起こされる。 点滴はまだついたままだ。 点滴をつるしているその細く冷たい鉄につかまりながら歩く。 歩けなかった。 部屋から出られなかった。 退院したその日、また、歩けなくなった。 それからしばらくの間、車椅子の生活だった。 そんな事が思い出される。
アタシはもがきながらもこうして、自分の足で歩く事も食事を摂る事もできる。 良くなっているではないか。 何も出来なかった時とは違う。 考える事が出来ている。 それだけでいい。 アタシは確実に人らしくなっている。 そして、感情が持てるようになった事。 どれだけの回復だろう。
きっと、また、明日からがんばれるそんな気がしてきた。
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Last updated
October 7, 2007 10:43:12 PM
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