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カテゴリ:書籍・雑誌
※この項は,以前「日本Nゲージ史外伝・番外編 ロコメートに関する補足」において記載していた内容を独立記事としたものです(元記事の方も記載は残しております)。 「玩具商報」は1947年,大阪商報社(のち商報社)により創刊された月刊誌で(注),1966年10月からは「TOYS MAGAZINE 玩具商報」と改題。翌1967年2月から月2回刊行となっていました。 ![]() (「玩具商報」創刊号。発行元は「大阪商報社」) (注)したがって,「玩具商報」は,「トイジャーナル」(東京玩具人形協同組合発行)の前身である「東京玩具商報」とは,まったく別の雑誌です。なお,1978年に行われた,トイジャーナル800号記念座談会では,「大阪玩具商報」が「玩具商報」に改称したとする出席者の発言がありますが,商報社の「玩具商報」は,1947年の創刊時以来「玩具商報」であり,「大阪」は付いていません。恐らく,戦前に長年発行されていた,「大阪玩具新報」と混同されているのではないかと思われます。 商報社は,「玩具商報」の他に「鞄袋物商報」(1986年「Bag-ware」に改題)や「糖菓商報」(詳細不明),「貿易商報」(同)などの専門誌を発行していました。また,商報社の系列会社として設立されたTOY・PRセンターから発刊された「よいこの太陽」(1963年11月創刊)は,玩具店などで販売,頒布された玩具PR誌です。 ![]() (「よいこの太陽」創刊号) 1974年,商報社東京本社・橋本社長と,商報社大阪本社・伊藤社長らとの間に対立が発生したようで,橋本社長側は,1975年1月号から「玩具商報」を「トイズマガジン」に改題すると発表。1976年には,商報社東京本社をトイズマガジン社とあらためています(発行は月刊に戻る)。 この間の事情につき,トイズマガジン463号(1975年1月号)に掲載された「『玩具商報』改題に際して業界諸賢に訴える」には,「一木前社長の死去後、『玩具商報』の商標登録者である故伊藤昇氏未亡人より東京本社に対して、『玩具商報発行人』の名儀(原文ママ)を返還してほしい旨の申し出があり、大阪、名古屋両本社社長よりも同様の意向が伝えられました。・・・『玩具商報』の題号使用権をめぐり、係争によって黒白を決することもその一つの道には違いありませんが・・・やむなく、『玩具商報』の題号を変更し・・・『トイズ・マガジン』(TOYS・MAGAZINE)・・・を新しいタイトルとして昭和五十年新年号より使用することに決定したような次第でございます。」とあります。 ![]() (トイズマガジン1975年12月号。のちにB5からA4に変更される) 一方,伊藤社長側も「玩具商報」を発行しました(こちらも月刊に戻る)。 伊藤社長側の「玩具商報」は「TOYS READER 玩具商報」(~1978年頃),「玩具商報 TOY&DOLL JAPAN」(1980年頃~1981年頃),「ジョイライフ 玩具商報」(1982年頃~1986年頃)などを経て,1986年に「キッズライフ」に改題(表紙に小さく「玩具商報」と併記)しています。 ![]() (玩具商報~キッズライフに至る変遷。こちらはB5のまま) 「トイズマガジン」側は,「玩具商報」時代と同様に「昭和33年8月10日 第三種郵便物認可」と記載されていて,巻号も1975年1月号が第29巻1号・通号463号と,旧「玩具商報」時代から完全に連続しています。 ![]() (分裂前の「玩具商報」臨時増刊号「小物・食玩特集」より。1947年を第1巻,1968年を第22巻として数えている。) ![]() (前掲トイズマガジン1975年12月号より。第三種郵便物認可は旧「玩具商報」を引き継いでおり,巻号も旧「玩具商報」から連続している) ![]() (「TOYS READER 玩具商報」1976年11月号より。第三種郵便物認可は1975年に取り直したことがわかる。この時点では巻号とも旧「玩具商報」から連続している) ![]() (「ジョイライフ 玩具商報」1986年12月号より。巻次は1975年を第1巻と数え直し,1986年を第12巻としている) 一方,「TOYS READER」側は,「昭和50年6月9日 第三種郵便物認可」と記載されているので,認可をあらためて取ったと思われます。巻号も,当初は旧「玩具商報」時代から連続して数えていたものの,途中から,通号は継続するものの,巻次は1975年を1巻として数え直しています。 このように,双方が「玩具商報」の後継誌を名乗った結果,1977年には「トイズマガジン」が「創刊500号記念特集」を掲載する一方,翌1978年には「TOYS READER 玩具商報」が「創刊30周年記念特別号」を発行しています。そして「トイズマガジン」は1994年に,「キッズライフ」も同じ頃に刊行を終えたようです。 なお,「トイズマガジン」は,国会図書館や都立多摩図書館に「玩具商報」の継続後誌として収蔵されていますので閲覧は容易ですが,「TOYS READER」の方は,30周年記念号が大阪府立図書館と神奈川県立図書館にあるくらいで,ほとんど図書館に見当たらないので,探すのに苦労しています(「キッズライフ」時代の最後の数年分は国会図書館に収蔵されています)。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.01.05 19:02:49
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