カテゴリ:第一章 061 ~ 122 話
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とくさん 「すいません、まだ準備中なんです・・・。」 お客 「承知の上なんですよ。 店長さんにお逢いできませんでしょうか。」 和恵姉さん 「とくさん、いいわ。」 とくさん 「はい。」 和恵姉さん 「さぁ~て、今日はなんの御用かしら。。。 お代なら有り余る程置いていったつもりでしてよ♪ 中華店 綉榠餡(しゅうめいかん)の総支配人? 店長さんでしたかしら?」 お客 改め 綉榠餡店主 「いやはや、それはそれは。 申し遅れました、私、綉榠餡の総支配人で店主の諫 大紅(カン・ダイコウ)と申します。 おっしゃる通り、お代は過分に頂戴しております。 実は今日のお願い事は、その過分過ぎましたお代を少しでもお返し出来ればと、 最高級のお持て成しとお料理をご用意して、お招きにあがった次第でして。」 和恵姉さん 「あら、お釣りは不要と申し上げたつもりでしたのに。」 綉榠餡店主 「はぁ、しかし過分過ぎにも程がありまして、気になって眠れない日々が 続いておりました。 どうかこのお願いを聞き入れては頂けませんでしょうか。」 和恵姉さん 「眠れない原因を残したままでは、申し訳けないわね。 いいわ、その招待をお受けしますわ。」 綉榠餡店主 「有難き幸せ。 では早速。。。 おぃっ」 付き添い 「はぃ、かしこまりました。 お嬢様、こちらへどうぞ。」 付き添い人は、丁重に店の前に横付けした黒塗りのリムジンに案内を始めた。 和恵姉さん 「とくさん、あとお願いしますね。」 とくさん 「わかりました。」 和恵姉さん 「では参りましょうか、店主さん♪」 綉榠餡店主 「はい、ありがとうございます。お足元にお気をつけ下さい。」 そして和恵姉さんを乗せた黒塗りのリムジンは、華夢ON を後にした。 ~ ~ ~ 和恵姉さん 「はぁ~♪ もうお腹一杯。。。」 綉榠餡 青龍の間で一人中央にデンと座り、3人のボーイさんの付き添いで出された豪華料理 を見事に平らげた和恵姉さん。 食べ終えると奥から綉榠餡店主も現れた。 和恵姉さん 「もう入らない。。。 とても美味しかったわ。 さすがね♪」 綉榠餡店主 「とてもご満足頂いたご様子。 有難いお言葉です。」 和恵姉さん 「さっ お腹もいっぱいだし、帰ろうかしら。。。 とは、いかないわよね。 ご用件を伺おうかしら♪」 綉榠餡店主 「これはこれは、お話の分かる方でいらっしゃるのですね。 安心致しました。 はい、実は本当のお願いはこれからになります。。。」 和恵姉さん 「聴けるところは聞くわ。 物事の順序、間違ってないものね♪」 綉榠餡店主 「恐れ入ります。 では早速ではありますが、お願い事が3つ程ございまして。。。 最初のお願いなんでございますが過日、うちの腕相撲チャンプが敗北したと 報告を受けておりますが、とても信じがたいことでして。 是非ここで 今一度お手合わせ願いまして、その真相をこの目で確かめさせて 頂けたらと。。。」 和恵姉さん 「そのくらいでしたらお易い御用ね。その願い、お受け致しますわ。」 綉榠餡店主 「そうですか。ありがとうございます。では。 おぃっ」 ボーイさん1 「はぃ。」 奥の扉が開き、そこから腕相撲チャンプ、審判役の2人が現れた。 ボーイさん2 「恐れ入ります、こちらのテーブルまでご足労頂けますでしょうか。」 そう言われて和恵姉さん、ナプキンで口の周りを拭い、ミネラル水を口に含んで喉を潤す。 そして立ち上がり、案内されたテーブルに向かい歩きだす。 今日の出で立ちは、山吹色に近い黄色のチャイナ。 白の刺繍がなされており、白のヒールサンダルと深く割れたスリットが艶かしい。 和恵姉さん 「いつでもいいわよ。」 審判役 「では始めます。 ひじをここへ置いて手を握って下さい。」 和恵姉さん 「形式は取らなくていいわ、さっさと始めてちょうだい。」 突き出た棒に左手を添え、そして右手はガッチリとチャンプと組んで握り、 両足をやや開き気味にして構える和恵姉さん。 一方のチャンプは既に冷や汗が止め道も無く額からあふれ出ていた。 審判役が二人の拳を上から握り、くるくると回して真ん中の位置で固定する。 早くもチャンプの額からは玉のような汗が滴り落ちていた。 審判役 「レディーーー ・・・・ GOっ!! 」 掛け声と共にチャンプに力が入る。 腕の筋肉が張り詰め力こぶがいっそう膨らみ、血管が浮き出てきた。 いきなり全力で臨む! チャンプ 「んーーーーーっ!」 ボーイ1 「おぃ、嘘だろ・・・」 ボーイ2 「し、信じられない・・・・・」 テーブルの上の互いが握る拳の位置が、全く動かない。 チャンプの腕はピクピク震え出した。 チャンプ 「ぬぉぉぉぉぉぉっ!!」 一層の力を込めるチャンプ。 歯を食いしばり、顔を見るだけでどれだけの力が入っているかが想像できる。 しかし一方の和恵姉さん、 とても涼しい顔をしており、いつもながらお美しい井出立ち。 汗ひとつ流していない。 チャンプは尚も必死の形相で体の反動も使いながらキバりまくっていた。カッチカチの力こぶ に浮き出た血管が走る腕! にも関わらず・・・ 回りは唖然としている。 ほどなくして和恵はゆっくりと店主に顔向け目線を合わせながら、 和恵姉さん 「そろそろいいかしら。。。♪」 綉榠餡店主 「あ・・・、は、はい。」 綉榠餡店主に確認し、許しが出たとたんっ、 バキっ★ ダン★\バリバリっ/グチャ チャンプ 「 ぐわぁぁぁぁっ 」 店内にチャンプの悲鳴が響き渡った! ボーイさん1 「うわっ」 ボーイさん2 「なっ」 綉榠餡店主 「うっ」 チャンプの腕が折れ、痛みでころげ回っている。 良く見ると、テーブルは叩き壊され右手甲の部分も血だらけ・・・・・ 腕も変な向きにしなだれていた! 骨も砕けたようだ。 そこに居合わせた者が全員その光景を見て、言葉を失っていた。 右手に付いたチャンプの返り血を濡れタオルでふき取り、壊れたテーブルの端に戻した和恵、 和恵姉さん 「こんな結末でよろしかったのかしら。。。」 綉榠餡店主 「すっ、凄い!」 和恵姉さん 「さぁ、一つ目の願いは実行したわ。 二つ目を聞かせてちょうだい♪ まさか、今度は別の男達があの扉から出てくるとか~?」 綉榠餡店主 「は、はぁ・・・・、出てはきませんが、今度はお隣の部屋に移動して頂きたいのです。」 和恵姉さん 「あらそう。 予想が外れて残念だわ。」 そういうと、案内も受けず右奥の扉にスタスタと歩き出した和恵。 ボーイさん1 「あ、よくこちらの扉とお判りに・・・・」 和恵姉さん 「店主さん、この扉の向こうにいる2人と一戦交えればいいのなら、 その願いも適えるわ♪」 綉榠餡店主 「な、なぜそれを・・・・・、おっしゃる通りですが・・・・」 和恵姉さん 「これだけ殺気を出されちゃ判らない訳け無いわよ。 結構な使い手さんらしいわね。」 そして扉の前に立ち、ボーイさん2が慌ててその扉の前に行き、店主と目を合わせて、 店主がうなづく姿を見てから扉を開けた。 -つづく- (言葉には気をつけて頂戴) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年11月16日 16時47分02秒
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