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テーマ:読書(8604)
カテゴリ:読書
洗練され惹きの強い題名になっている。 ミステリ大賞応募時には「バーチャリティ・フォール」というタイトルだったのこと。まったく何の話か分からない。今作の題名では内容と主人公が誰かはっきりしている。洗練されたといえよう。 展開はテンポよく、読者の好奇心を惹きつけて離さない。やや難解でなじみのない弁理士という職業も若干抵抗感を感じる。いや、抵抗感でなく違和感か。知らなくても弁護士ならなんとなくわかるというか馴染みがある。馴染みのない弁理士という職業。まずそれに慣れなくてはいけない。 本作の続編「ストロベリー戦争 弁理士・大鳳未来」というのがすでに発刊されているとのこと。読みたいという気持ちとやや待てよという気持ちがある。 「特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来」は確かに面白いけれど、作家が男性であるからか「元彼の遺言状」の新川帆立を読んだ時のような、他の作品も読みたいという意欲が掻き立てられず、ドラマ原作ゆえネタバレしないうちに一刻も早く読まなければならないという切迫感も感じない。作家本人の男女の違いなのか、弁理士と弁護士の違いなのか。題材の難易度の問題なのか。 本作で取り上げているバーチャルリアリティのような3Dグラフィクスの伝送速度とか理解というか把握して読むにはデジタルアレルギーのある読者にはまず無理なような気がする。そして、特許というややこしい権利問題である。特許の申請、認定が一般認識として希薄であると思えるのでここもやや難解なのではと思える。実際、私は完璧に理解したと思えない。 いけない、いけない。 おもしろくてスラスラ読めて、ほぼ一気読みしたにもかかわらず、突っ込んでばかりでは申し訳ない。とても素晴らしく素敵な本であるといえる。 ただ、何かがひっかかると考えると、登場人物がほとんどみな高圧的な高慢ちきな人ばかりだということだろうか。生き馬の目を抜くような人ばかりと思える。心優しい人や心優しく見えて裏では悪人だとかキャラクターがバラエティになればもっと面白くなるのかもしれない。
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最終更新日
2023.08.10 19:54:27
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