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テーマ:戦争反対(1190)
カテゴリ:酒
もうずっと以前のことですが、尾瀬あきらさん作の「夏子の酒」という漫画がありました。現在は文庫版が発売されています。
幻の米から日本一の吟醸を造ろう。その想いがあって、夏子の兄が死の直前に、幻の米=龍錦の種籾千三百五十粒を手に入れました。夏子はそれを受け継いで、様々な苦労の末遂に龍錦の吟醸を誕生させるという物語です。そんなすごい吟醸酒が本当にあるのなら、何が何でも手に入れて私は飲んでみたいものです。 酒造りの話しですが、その酒の元になる米作り・農業に関する示唆に富んでいます。「百姓は金儲けしてはいかん。百姓の本来の目的は人の命を守ることだ」などという衝撃的なセリフもありますし、「有機農法はやがて世界を席巻する21世紀の農法だ」などという場面もあります。21世紀の現在、有機農法が世界を席巻しているかどうか不明ですが、食物由来の疾病を減らし人間が本来の生活を取り戻すためには有機農法以外にあり得ないと思います。 この「夏子の酒」の続編というべき作品に「奈津の蔵」というものがあり、夏子の祖母=奈津について描かれています。戦時中、酒は戦費捻出のために国にとっては大切なものでした。酒蔵には役人が検査に来たりして、わずか五合の酒の漏れをも許してもらえなかったようです。わずか五合の酒が樽からもれていただけで非国民と呼ばれるのではたまりませんね。 戦争が激しくなり、男達は召集されていきました。奈津の夫も例外ではありませんでした。男の少なくなった蔵で奈津は女達による酒造りをはじめます。 奈津の夫は戦死してしまいます。末の子が病気の際に空襲にあって結局その子も治療を受けられないままなくしてしまいます。奈津は酒の神様=松尾様に、激情をぶつけます。 【以下『奈津の蔵』から引用 ()内著者】 すぐれた吟醸酒が生まれたのに お前様はそれすら守れなかった! 蔵もたくさんつぶした! なんて情けない神様! おまえさまがほんとうに酒の神様なら……善造(夫)を返せ! 綾(子)を返せ! たが屋の保さんを返せ! 死んでいったたくさんの 酒屋者を返せ! 【引用終わり】 私が今夜飲んでいる酒にかかっている税金が、戦時中のように戦費として使われ銃弾・砲弾等の一部となるかも知れないとしたら、いくら好きでも酒を飲む気はあまり起こらなくなるでしょう。もしそれで命を落とす人がいるとしたらと考えると、これは私にとって重大な問題になってしまうのです。 尾瀬あきらの公式サイト http://www008.upp.so-net.ne.jp/ozex/index.html お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012年04月16日 17時16分36秒
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