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カテゴリ:ドラマ
監督 オリバー・ストーン 主演 ニコラス・ケイジ あの日から、ちょうど10年です。ということで、ちょうどこの日にふさわしい映画を。 2001年9月11日、ワールドトレード・センターに飛行機が突っ込んだ直後、救助に向かった警察官ジョン・マクローリン(ニコラス・ケイジ)が、同僚とともに、ビル崩壊に巻き込まれ、奇跡的に救出されるまでを再現したノンフィクション映画です。 実話だけに、非常にリアルに物語は展開していき、ビル崩壊の場面も迫力たっぷりで、見事に再現されています。その後は、がれきに閉じ込められた2人が、励まし合いながら、生き残ることをあきらめず、ひたすら救助を待つ姿を、心配する家族の場面を交えながら、リアルに描いていきます。その描写が、リアル感を表現することに徹しているためか、救助された時には、リアルに喜び、感動できます。 何千人もの被害者がいる中で、2人の被害者とその家族の物語に絞って描くことにより、その心境や状況が、より詳しく語られ、そのほかの非常に大勢の家族にもそれぞれこのようなドラマがあったのだろうと想像させられます。 しかし、観終わった後、何か物足りない感が残ります。それは何でしょうか。 政治的・宗教的・思想的な背景などが、全く語られていないのです。 実際、災害にあった当事者は、今現在自分の周りで何が起こっているのか、全くわかりません。とにかく目の前にある危機をいかに回避するか、どうしたら生き残れるかを考えているだけです。実は飛行機がビルに突っ込んだんだとか、ビル全体が崩壊したんだ、アラブ系のテロリストがハイジャックを起こし飛行機を誘導したんだ、ということは、当事者には分からないことです。 ワールドトレードセンターで、この災害に巻き込まれた状況を事実にできるだけ忠実に、描こうとしたがために、こういう形に出来上がった映画でした。あえて、事件の全体像を描かず、意図的に、政治的・宗教的・思想的な背景は、省いて作ったのではないかと思います。 3000人近くの人が亡くなり、2本の巨大ビルが崩壊した大事件ですが、その中のひとつの場面だけをより詳しく取り上げ、その事件の重大さを語り、感動できる話に仕上げたオリバー・ストーン監督の手腕は、見事です。 この事件で亡くなわれた方々のご冥福をお祈りいたします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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