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2012.02.28
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カテゴリ:戦争
硫黄島1

「硫黄島からの手紙」 Letters from Iwo Jima 2006年 アメリカ映画

監督 クリント・イーストウッド
出演 渡辺謙 二宮和也 伊原剛志 加瀬亮 中村獅童

 前回に引き続き、今回はこの映画を取り上げねばならないでしょう。巨匠クリント・イーストウッド監督による硫黄島プロジェクトの第2弾、日本側から硫黄島の戦いを描いた作品です。
 アメリカ初といわれる、全編ほぼ日本語で、主要キャストはすべて日本人(一部日系人、中国系)の作品ですが、米アカデミー賞では、外国語映画賞ではなく、作品賞にノミネートされました。(惜しくも受賞はならず。ノミネートされた4部門のうち受賞は音響効果賞のみ。前評判では、渡辺健の主演男優賞、二宮和也の助演男優賞のノミネートがありうるという話でしたが、残念ながら、ありませんでした。)

 西郷一等兵(二宮和也)は、硫黄島の海岸で、塹壕となる穴を掘っていました。ふと見上げると、一機の輸送機がやって来るのが見えました。この硫黄島基地の新しい司令官となる栗林中将(渡辺謙)を乗せた輸送機でした。
 着任早々、栗林中将は、1000名あまりいる島民を島外へ避難させ、従来の水際防衛線となる海岸の塹壕掘り、体罰による制裁をやめさせます。
 サイパンやレイテ島などの日本軍の前線基地が次々と陥落し、この硫黄島が最終防衛ラインであり、ここを失えば日本本土や沖縄などへ、米軍の直接攻撃ができるようになることは分かっていました。そして、連合艦隊は壊滅状態にあり、栗林は、いかにこの硫黄島で、最後の抵抗を見せるかを考え、島の地形を調べていました。
 栗林中将は、島中に洞窟を掘り、地中の基地を建設することを、兵士たちに命じます。かつてのオリンピック馬術競技の金メダリストで、栗林と同じくアメリカで暮らしたことがある西中佐(伊原剛志)は、彼の進歩的な作戦を理解しましたが、伊藤中尉(中村獅童)ら、以前からこの基地で指揮をとっている士官たちには理解することができませんでした。
 一方、西郷たちは、突然内地の憲兵隊から移動してきた、清水上等兵(加瀬亮)を、自分たちの監視に来たのではないかと警戒しながらも、毎日洞窟を掘る作業を続けていました。
そんな中、サイパンを米軍の艦隊が出立したとの知らせが届きます。
 栗林は、洞窟の基地全体に通じる放送を使って、すべての兵士に告げます。「二度と生きて祖国の土を踏めぬものと、覚悟せよ。」
 1945年2月、1カ月余りにも及ぶ“硫黄島の戦い”が始まりました。

硫黄島2

 この時、硫黄島には、約22,000名の日本兵がおり、約20,000名が戦死し、1,000名が負傷したそうです。米軍は、約6,800名が戦死、約22,000名が負傷しています。当時の勢い、そして軍備の違いなどを考えると、いかに日本軍の硫黄島部隊の抵抗が大きかったかがわかります。
 渡辺謙の演じた栗林忠道中将は、実在の人物で、アメリカ駐在経験があり、非常にアメリカ的な合理的思考ができる人でした。連合艦隊は壊滅し、戦闘機も全くないという絶望的な状態の中、1カ月余もの間、抵抗を続けることができたのは、彼の指揮あってのものと言われています。

 しかし、この映画は、その栗林中将の英雄的活躍を描いているわけではありません。確かに、体罰を受けている西郷たちを助けたり、画期的作戦を指示したり、戦意を奮い立たせるような演説をしたりと、そのカリスマ性を高める描写もありますが、それよりも、副官と2人で島の中を見て回るなど、どう作戦を立てるべきか、考えている姿のほうが印象に残ります。そして、夜ひとりになると、遠く本土で暮らす子どもたちに向けて、手紙を書く姿がたびたび描かれています。
 その手紙の内容は、どう考えても、八方ふさがりの硫黄島基地の状況ではなく、軍のエリートとして行った、アメリカ駐在時代の楽しかった思い出を回想し、イラスト付きで、ひとことひとこと子どもに語りかけるような文体で語られていきます。

 そうです、このお話は、題名にもある通り、手紙が1つのキーポイントとして、作られているのです。
 冒頭、現代の硫黄島の洞窟から、1つの袋が掘り出されるところから始まり、先程の栗林の描写をはじめ、西郷や清水が手紙を書いたり、読んだりしている描写が、たびたび出てきます。それは、もちろん、本土で暮らす家族との手紙です。実は届かないであろう、その手紙は、1つにまとめられ、洞窟の中に大切に埋められたのです。
 また、西中佐が捕まえて話をする負傷米兵は、翌朝、母親からの手紙を手に、息絶えていました。その手紙を訳して読む西。その内容は、日本人と同じように、わが子の無事を祈る母のものでした。それを聞いた兵士たちは、子どものころから鬼畜米英と教えられてきたことと違い、彼らも同じ人間なんだと思います。
 彼らの手紙を通して、ひとりひとりの兵士たちの生活や命を思い起こさせ、双方の兵士たちが、バタバタと死んでいく(中にはもうだめだと追い詰められ、手榴弾で自決する日本兵の描写もあり)、生々しい戦闘シーンとの対比により、戦争と個人の命について考えさせるのが、テーマなのではないでしょうか。

 そう考えると、前回の「父親たちの星条旗」との2部作の意味が分かってきます。
 国家の目的のためには、個人個人の命など、二の次にされてしまう、戦争という行為の恐ろしさ、愚かさを、日本・アメリカ双方の視点から描きだしたイーストウッド監督の、見事な作品です。

 ところで、この映画、西郷役の二宮和也、ジャニーズのアイドルグループ「嵐」のニノですが、いいですよ。前々から、彼の演技力には定評がありましたが、初めてのハリウッド映画の出演に臆することなく、存分に実力を発揮しています。特に、最後のほうの、表情の無い真顔のアップですが、目から一筋の涙が流れるところなど秀逸です。やっぱり、アカデミー賞にノミネートしてほしかったですね。そうすれば、菊池凛子さんとのダブル受賞の夢が見れたのに。





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Last updated  2012.02.28 06:39:35
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