|
カテゴリ:SF
「CODE46」 Code46 2004年 イギリス映画 監督 マイケル・ウィンターボトム 出演 ティム・ロビンス サマンサ・モートン またまたレンタルビデオ屋で見つけてしまいました。皆さん、この映画知らないでしょう。ぼくも全く知りませんでした。DVDのパッケージの解説を読み、DNA関係の近未来ものSFで、僕好みの演技派ティム・ロビンス主演ということで興味を持ち、借りてみたわけです。 あらすじを書く前に、劇中の世界観を確認しておきましょう。といっても、別にどこかに解説があるわけではなく、僕が映画を見て受け取ったものです。(題名にもなっている“Code46”については、冒頭にナレーションで説明が入りますが。) 核戦争があったのかどうかは定かではありませんが、かなり環境破壊が進んだ世界です。人々は、都市に集中して住み、一部の都市以外(“外”と呼ばれています。)は、ほぼ砂漠で、荒廃しています。 都市にすむ人々は、厳重に管理されており、移動には、許可証(パペル)が必要で、政府(国か世界政府かは不明だが、世界政府っぽいです。)の承認を受けた民間企業(上海では“スフィンクス社”というらしい。)が、細部にわたって登録してある個人情報を検討し、発行している様です。 許可証が発行されないのは、必ず何らかの理由があるようで、偽造パペルを使って移動したものは、何かしらのトラブルに遭い、命を落としたり危険な目に遭っているようです。例えば、コウモリの研究がしたいと、今では“外”になっているデリー(インドだよね?)へ偽造パペルで行った男は、その土地特有の病原体に侵され、ほどなく命を亡くしたようです。8年間パペルの発行を申請し続け、全く許可されなかったのは、彼のDNAから、その病原体に弱いことがわかっていたからなのです。 また、人体に有益なウィルスが開発され、活用されているようで、主人公のウィリアム(ティム・ロビンス)は、その捜査官という職業柄、“共鳴ウィルス”というものを服用しており、初対面の相手でも、その人の個人的な情報を聞くだけで、その心を読めるようになるようで、証拠等を見つけることなく、犯人を見つけることができるようです。マリア(サマンサ・モートン)いわく、X線メガネで、女性の下着を見るみたいだそうです。 そして、“Code46”。これについては冒頭で説明が入ります。簡単に言ってしまえば、近親性交の禁止です。同じ遺伝子を持つ者は、子どもをつくることが許されないというものです。その理由は、現代でも禁止されているように、遺伝学的なことが主ですが、その背景には、人工授精・体外受精・クローン製造が、一般化しており、世界のどこに自分の近親者がいるか分からない状態になっているということがあるのです。 だから、婚姻を結ぶ時には、遺伝子検査が義務付けられており、遺伝子が100%・50%・25%一致する場合は、認められないそうです。婚姻せずに子どもができてしまって、遺伝子検査で認められなかった場合は、子どもは中絶させられ、その彼との記憶がすっかり消されてしまうようです。 という設定を踏まえたうえで、あらすじです。 捜査官のウィリアム・ゲルドは、偽造パペルの捜査のため、上海の“スフィンクス社”にやってきました。パペルを偽造した印刷機を使っている社員にひとりひとり尋問する中、彼はマリア・ゴンザレスという女に心を奪われます。 ウィリアムは服用している“共鳴ウィルス”のおかげで、犯人はマリアだとわかりましたが、他の男が犯人だと告げ、“スフィンクス社”を後にします。 ウィリアムが帰り際、マリアをつけていくと、彼女から声をかけてきます。一緒に食事をした後、彼女の導きで、クラブへ行きます。 マリアはダミアンという男と待ち合わせをしていました。大胆にもウィリアムの前で、ダミアンに偽造パペルを渡します。彼が黙って見ているとわかっていたからです。 その後、2人はマリアのアパートで、体を合わせるのでした。 しっかりラブストーリーでした。しかも、“Code46”のおかげで、悲劇に終わるラブストーリーでした。でもやはり、その世界の設定がしっかりしているからでしょうか、結末は悲しいですが、納得させられるますし、ストーリーも無理がなく(基本設定がきちんと理解できていれば)、素直に悲しい気持ちにさせられました。 しかし、主に男性が好みそうなハードなSFの舞台設定に、女性が好みそうな悲劇のラブストーリーが乗っかっているので、受けなかったようで、興行的には散々な結果だったようです。 しかも、主役がいつも脇役で渋い魅力を見せているティム・ロビンスで、ヒロインはほぼ無名で、ファニーフェイスです。 その上、近未来SFですが、服装や建物、車など、その生活ぶりは、ほとんど現代と変わりません。(ウィリアムを迎えに来る車はエスティマでした。) とにかく全体が地味なんですね。こりゃあ、売れないわけだわ。 しかし、僕は、この現代とほぼ変わらない近未来というのが、非常にリアルで、気に入っています。 近未来を描いているSF作品って、車が丸っこくて、空中を走っていたり、宇宙服みたいな薄っぺらいつなぎの服を着ていたり、という描写が多く見られますが、実は、社会生活って、そんなに急激には変わらないんですよね。 考えてごらんなさい、この数十年の世界の変化を、確かにPCとか携帯電話とか、数十年前には考えられもなかったアイテムが現代では普通になってきていますが、車とか家とか、服とか、この数十年で大きな変化はありませんよね。 21世紀になった今でも、人々は、角ばったガソリンエンジンの車で地上を走り、畳の部屋で仏壇を拝み、TシャツやGパンや、背広を着ています。 だから、実は低予算のため大掛かりなセットを作れず主にロケで撮影をしたため現代と同じ生活になってしまったのかもしれませんが、結果的には、非常に無理のない近未来の描写になっています。結果オーライということですか。でも、やっぱり地味ですよね。 もうひとつ、僕が気に入ったのは、マリア役の女優、サマンサ・モートンさんです。 決して美人というわけではありませんが、ファニーフェイスにクリクリと動く愛嬌のある瞳、そして意外といいプロポーション、これはウィリアムでなくても、一目で恋してしまってもおかしくないなあ、と思ってしまいました。 ちなみに、彼女、ティム・ロビンスに軽々とお姫様だっこされたりして、非常に小柄に見えますが、調べてみたら身長160cmだそうです。ふつうやん。(欧米人としては小さいかな?)実は一緒に歩いているティムが195cmと、たいへんな長身だったんですね。 ティム・ロビンスは、童顔で若く見えますので、よく勘違いされていますが、実はとても大きいんです。 でも、ちょっと彼女好みです。 ということで、意外とハードなSFで、しっかりと泣けるラブストーリーを、今回は紹介しました。SF好きな男性諸氏、彼女と一緒に観るといいかもよ。ただし、設定が理解できないとダメですけど。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[SF] カテゴリの最新記事
|