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カテゴリ:SF
「ヴァン・ヘルシング」 Van Helsing 2004年 アメリカ映画 監督 スティーヴン・ソマーズ 主演 ヒュー・ジャックマン あの“ウルヴァリン”のヒュー・ジャックマン主演の、CG満載吸血鬼アクション映画です。ヴァン・ヘルシング教授といえば、吸血鬼ドラキュラを倒そうとする老教授として、ドラキュラ映画などに登場していたわけですが、この映画では、モンスター・ハンターとして働く青年のヒーローとして描かれています。 1887年、トランシルバニアのある城では、フランケンシュタイン博士が、ある実験を行っていました。それはドラキュラ伯爵の依頼で、死体をつなぎ合わせ人造人間を作ることでした。しかし、その目的を知った博士は伯爵に逆らったため殺され、作られたモンスターは、墓を荒らされたため怒った民衆の暴動に追い詰められ、博士の死体とともに、離れの風車小屋で焼かれてしまいました。 1年後、パリ、過去の記憶を無くした男ヴァン・ヘルシング(ヒュー・ジャックマン)は、ジキル博士の変身したハイド氏を追っていました。ジキル博士から生け捕ることを依頼されていましたが、結局殺してしまいました。彼は、ジキル博士に戻った死体を見た民衆から、人殺しと追われることとなってしまうのです。 ヴァン・ヘルシングは、バチカンのカトリック教会が指揮する闇の組織のモンスター・ハンターとして各地の魔物を退治しているのですが、彼の行く先々には、モンスターであることから開放された人間の死体が残されているため、各地でお尋ね者となっていたのです。 バチカンに戻ったヴァン・ヘルシングを待っていたのは、トランシルバニアを長いあいだ恐怖で統治しているドラキュラ伯爵の手から、村を救うことでした。 その頃トランシルバ二アでは、ドラキュラと闘い続けてきたヴァレリアス一族の生き残りの兄妹が、ドラキュラの傘下であるウルフマンと戦っていました。かろうじてウルフマンは倒すことができましたが、兄ヴェルカンは、断崖絶壁から落下し、生死不明になっていました。 武器発明のエキスパートである修道僧カールとともにトランシルバニアに到着したヴァン・ヘルシングは、血に飢えたドラキュラの花嫁たちに襲われ、逃げまどう群衆に遭遇します。群衆の中に、毅然として闘う女性がいました。彼女の名はアナといい、ヴァレリアス一族の最後の生き残りです。 ヴァン・ヘルシングはアナとともに、打倒ドラキュラに挑みます。ドラキュラは科学技術と魔術を融合させ、自らの仲間を大量繁殖させようとしていたのです。 吸血鬼ドラキュラ、狼男、フランケンシュタインの怪物、ジキル博士とハイド氏と、ヨーロッパのモンスターたちが一堂に会するという、非常に贅沢な物語となっております。 冒頭、一応過去の話によるプロローグ(でも、本編とは1年しか違わないんですけど、そうやって始まったら何十年・何百年前のこと、というのが普通だけど。)という意味だと思われるモノクロ映像により、怪しい博士が怪しい研究をしている様子が映し出されます。やがてそれは、フランケンシュタイン博士が、死体を使ってモンスターを作っているところだということがわかり、「あれ、“ヴァン・ヘルシング”だからドラキュラだよね???」と思っていると、博士に命令している“伯爵”と呼ばれるいかにもという風貌(服装は古典的なスタイルではなく、非常に現代的ですが、その雰囲気からわかります。)の男が出てきます。そこで、「ああ、そういうコンセプトね。じゃあ、狼男も出てくるのか?まさか怪物くんは出て来ないよね?フンガー!」と理解しました。 そして、画面変わって、1年後のパリ(カラー映像になっていて、1年後となっているので、ここで1回コケます。前述の理由で。)、そして、黒づくめの男が何やら体格のいいモンスターを追っています。やがてそれが、“ハイド氏”だとわかり、「これは盛りだくさんだなあ。」と思いました。そして、「そんなら、いっそのこと、手の甲からツメ出しちゃえよ。そしたら、大爆笑してやるのに。」とも思いました。 そしてまた、トランシルバニアの村の場面になり、案の定、狼男が出てきたので、「やっぱり!!!」と思いました。それからは、ヴァン・ヘルシングが、いつ手の甲からツメを出すか、そればっかり期待して観ていました。でも、さすがにそれはなかったですね。(笑) とにかく盛り沢山で、どのくらい盛り沢山かというと、フライケンシュタインの怪物や、ドラキュラが、ほとんど戦闘しなくてもいいぐらい盛り沢山でした。 つまり、出てくるモンスターが多すぎて、彼らの特徴を披露し切れていない感じが、非常にもったいないなあと、思ったのです。 ドラキュラ伯爵なんて、十字架や銀の杭など、従来の弱点であるはずのものが通用しないという設定にしてあって、非常に手ごわい感じにしてあるにもかかわらず、ラストは意外と、最後まで焦らしに焦らしてきたにもかかわらず、非常にあっさりとやられてしまって、つい画面に向かって「そいだけかい!!!」と突っ込んでしまったほどです。(まあ、時間的にも、しょうがないかあ、と思ってもいましたが。) ラストが、続編を作る気満々のラストだったので、もっとモンスターの数を減らして、じっくりと戦いを見せてくれよう、と思ったのは私だけでしょうか。(結局、CG使いまくりのおかげで膨大になった制作費を回収できないほどの興行収入だったみたいで、未だ続編の話はないみたいですね。) まあ、ドラキュラの3人の花嫁たち(最初見た時、“ハーピー”かと思いましたが、よく見るとツバサが鳥の羽ではなく、コウモリのものだったので、そこまで盛り沢山ではないか、と思いました。)が、恐ろしい顔で素っ裸で空を飛んできて、ヴァン・ヘルシングが、新兵器の何十発と連続で矢を打てる弓を、やたらめったら無駄撃ち(すごいスピードで飛んでいる上に、彼女たちはそんな普通の矢が刺さったくらいではやられないのです。よく、村の住民たちに命中しなかったものです。)している場面は、非常に迫力があり、また、人間に戻った時の3人の花嫁たちが非常にかわいかったこともあり、見ごたえがありましたが、それだけでした。 また、夜の場面が多く(ドラキュラがラスボスですから、当たり前。)、暗い画面が非常に多い映画なのですが、怖い場面が全くないんですよね。ホラー映画的にしたくなかったのかとも思いましたが、中盤の城での戦いの場面とか、あのパーティの場面(あいつらも、結構あっという間にやられすぎだよね。)とか、もっとじっくり描いて、怖がらせてもよかったのでは、と思いました。 いろいろなモンスターが出てくるということで、昔のファミコンのゲームの「桃太郎伝説」(桃太郎電鉄ではない。)を思い出してしまいました。 桃太郎が、おとぎ話の世界を宝を求めて旅をするというRPGゲームなんですが、鬼はもちろんのこと、金太郎や浦島太郎、かぐや姫に乙姫様、竜やタヌキや九尾のキツネ、カッパやぬりかべなどの妖怪たち、などなど、日本昔話に出てくるキャラクターが一堂に会しているゲームでした。 そんなことを考えてみると、「ああ、この映画RPGゲームみたいだなあ。」と思ってしまいました。勇者と僧侶と女戦士が、手掛かりを求めつつ旅をして、途中でモンスターが仲間になって、最後はラスボスとの大決戦。ヨーロッパのモンスターがいっぱい出てくるRPGだったんですね。なるほど、なるほど、盛り沢山なわけだ。 ということで、盛り込みすぎて、特徴があって非常に個性的なキャラを生かし切れず、結果いまいちなものができてしまったという、ちょっともったいなかった作品を、今回は紹介しました。でも、深く考えずに観ていれば、なかなか楽しめるお話ですよ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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