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2013.03.15
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カテゴリ:時代劇
十三人1

「十三人の刺客」 2010年 日本映画

監督 三池崇史
出演 役所広司 市村正親 山田孝之 伊原剛志 松方弘樹 稲垣吾郎 伊勢谷友介
   沢村一樹 松本幸四郎 平幹二朗 内野聖陽 古田新太

 実は1963年の映画のリメイクだそうですが、ぼくはまったく知りませんでした。でも、オールスターキャストで、けっこう力を入れて作られており、あの「ヤッターマン」の監督がどう撮っているのか非常に気になっていた作品です。

 江戸時代後期の弘化元年(1844年)。将軍の異母弟にあたる明石藩主松平斉韶(稲垣吾郎)は残虐非道の振舞いが多く、明石藩江戸家老間宮図書(内田聖陽)は、直訴したく、老中土井利位(平幹二朗)の屋敷前にて切腹、憤死します。
 幕閣では土井を中心に善後策を検討したが、将軍の意により、斉韶にはお咎めなし、ということになります。
 斉韶の老中就任が来春に内定していることを知る土井は、やむなく暗黙のうちに斉韶を討ち取ることを決意し、御目付役の島田新左衛門(役所広司)を呼び出します。
 息子と嫁を斉韶に惨殺された尾張藩の牧野靭負(松本幸四郎)の訴えもあり、新左衛門は老中土井の意を受け、御徒目付組頭倉永左平太(松方弘樹)や御小人目付組頭三橋軍次郎(沢村一樹)、お抱えの浪人平山九十郎(伊原剛志)らと相談し、仲間を集め始めます。倉永・三橋の部下を始め、食い詰め浪人で槍の名手佐原平蔵(古田新太)、新左衛門の甥島田新六郎(山田孝之)も駆け付け、12人の刺客団となりました。
 新左衛門らは、密議を重ね、参勤交代帰国途上の中山道落合宿にて斉韶を討つ計画を立て、準備を始めますが、その存在は、明石藩御用人として召し抱えられていた、新左衛門のかつての好敵手、鬼頭半兵衛(市村正親)ら明石藩の家臣たちに知られていたのです。

 冒頭の明石藩家老間宮の切腹シーンに始まり、斉韶が明石藩内での一揆の首謀者の娘の四肢を切り、慰めものにした後、道端に捨てていたという悲惨な姿(もちろんCGですが、非常にリアルです。)、斉韶が間宮の家族(子どもも含む)を捕らえ、面白半分に弓の標的にしていた場面など、目を覆いたくなるグロテスクな描写を、臆面もなく映像化していたところから、けっこう気合を入れて作られているなあと思いました。
 そして、後半の落合宿での決戦シーンのど迫力、非常に見ごたえがありました。
13人の刺客対300人の明石藩護衛隊の戦い、13人の刺客はみな腕に覚えのあるものばかりで、落合の宿場ごと買い取り様々な仕掛けを準備していたこともあり、護衛の者を巧みな剣さばきで次から次にと切って切って切りまくります。
しかし、彼らがいかに強いといっても、多勢に無勢、ひとり、またひとりと倒れていきます。役所浩司らベテラン俳優の巧みな殺陣に魅せられながら、最終標的である、藩主松平斉韶までたどり着けるかどうか、ハラハラドキドキして画面に見入ってしまいました。

 また、将軍の弟というだけで、残虐で極悪非道な男に、誰も、老中でさえも逆らえず、彼の地位を奪うためには、暗殺という手段に頼らざるを得ないという、世襲制や身分制度を基盤とした社会の歪みというか、理不尽さ不自由さ、この後、幕末の動乱に向かっていくのは当然だなと思わせてくれました。

十三人2

 そういったドラマを支えているのは、俳優陣の演技力ですね。
 まず、主役の役所広司さんの眼力の迫力ですね。意志の強さというか、決心の硬さというか、眼ですべてを語っています。あの眼で見つめられたら、「はい、ごめんなさい。」というしかありません。
 伊原剛志さんの男くささも半端ありません。「硫黄島からの手紙」の時も思ったのですが、彼は“決め”が非常にうまいんですよね。男のカッコよさを魅せるのが異様にうまいのです。「俺の横を通り過ぎたやつは、すべて切れ!」などと、男くさいセリフを吐いた後、“キリッ”と決める、敵をひとり二人三人と続けて切った後、“キリッ”と決める、そういった仕草が、いちいち男としてカッコイイのです。
 松方弘樹さんの殺陣のうまさは群を抜いています。皆さん巧みな殺陣を見せていますが、ひとりだけ次元が違うというか、太刀筋が違うというか、見せ方を知っているというか、とにかく乱戦の中で、“キラリッ”と光っているのです。
 極悪な藩主であることを認めながら、武士道を貫き、命をかけて藩主を守ろうとする市村正親さんも光っています。自分を殺し、あくまでも忠義を貫こうとする男の強さ、ベテラン俳優でありながら、実は時代劇の経験は少ないということを全く感じさせない迫力がありました。
 山田孝之さんもいいですね。実は僕は今の日本映画界の中で、若手NO.1だと思っているのですが、童顔でかわいい系のイケメンでありながら、汚れ役や狂気を秘めた役が非常にうまくて、異様な存在感をいつも感じてしまいます。この映画でも、何があったのかは語られていないのですが、彼は生きがいが見つけられず、女や博打に溺れる人生を送っていたのですが、叔父の決心を知り、死に場所を求めてこの計画に参加しているのが如実に感じられます。
 伊勢谷友介さんは、CMで見せている、英語を巧みに話し、彼女のためにバラの花束をゲットするカッコイイ男など、微塵も感じさせない汚れっぷりです。刺客一行が落合に向かう途中の山中で、偶然出会い、13人目の男として計画に参加するのですが、いちいち動きが尋常でなく、山の民としての得体の知れない男を怪演しています。ただ、一応お笑い担当なのでしょうか、決戦前夜の落合宿で見せた絶倫ぶりなど、余計な描写があったことは少し気になりました。
 そして、今回1番すごかったのは、狂気の藩主松平斉韶役の、稲垣吾郎さんです。ジャニーズのアイドルが、ここまで残忍な悪役を演じるか、と思わせるキレキレぶりでした。
 女を無理やり手篭めにし、無抵抗の女・子どもを惨殺し、戦いの最中に楽しみを感じ、「わしが老中になったら戦の世にしよう。」と語り、自分を守って奮闘しながらも命を落とした家臣の首を平気で足蹴にする、そんな極悪非道な男を、ほぼ無表情ながら、瞳の奥に狂気とも、むなしさともとれる異様な光を放ち、怪演しています。

十三人3

 ということで、今回は日本の役者陣も捨てたものじゃないぞ、と感じさせてくれる、かつての名作のリメイクでありながら、独自の解釈で、迫力満点の映像を見られる秀作をs紹介しました。





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Last updated  2013.03.16 03:18:15
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