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テーマ:よしなしごと(638)
カテゴリ:旅行けば
どうにも気持ちのやり場の無いことが時々ある。
誰に当たる訳にもいかず、腹の底に収めるしかないのは分かってはいるが、それがいつまでもざわざわと心に波を立てていて、心がじくじくと落ち着かない。 全てをストップしてコーヒーを入れる。 高山病になりかけのふらふらの足でバスを降りて眺めた、青蔵公路最高点5200mのタング・ラの夕暮れの風景。 ポルタラの満天の星空、夜の草原で聴いた遊牧民の少年の歌声。 ラオスのどこか、電気の無い村の農家の庭先で焚き火を囲む家族。 ポカラで行きつけだったランドリーの若い母親の笑顔。 ラダックの葬礼で聴いた物憂い音楽。 シノップの釣り船で黒海に出た時に船の持ち主が出してくれたブドウとパン。 香港の港、片隅にうごめく猫ほどもある巨大な鼠。 クアラルンプールの街中で3歳の息子の頭を撫でていったとっぽい兄ちゃん。 白々と乾いた日差しの下、カンボジアとベトナムの国境に座り込んで果物を売る女たち。 シルクロードの要衝だった1300年前の姿を今も朧気に残す高昌国の遺跡。 チェンライの山奥、高床の家の夜明け、脱穀の臼と杵が刻むリズム。 そんなことを思い出してみる。思い出せることはいくらでもある。 波が少し静まる。 大丈夫、何とかなる、いつかは終わる。 自分が出会った、見た、聴いたものたちがまだ自分の中に生きていることに感謝する。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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