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だだもれ堂筆記

だだもれ堂筆記

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2012.10.25
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カテゴリ:旅行けば
80年代の中国、特に地方だと食事は一大事。
自由市場があったので肉や野菜、果物は手に入った。豆腐やパン、米なども「糧票」という食糧切符が必要という建前だったが、価格に多少上乗せすれば難なく手に入った。
しかし、留学生には料理の場所が無い。留学の最後の方では思い余って電器コンロを手に入れ、留学生仲間と一緒に部屋で勝手に調理はしていたが、素材が手に入っても下準備に手間がかかる。
豚肉は塊(しかも往々にして表面は土埃やゴミで汚れ、乾いていたりする)、鶏は絞めただけだから羽毛を毟らねばならず購入を断念、野菜はよく洗って(農薬がコワい)傷んだところをチェック。卵は割る時に1つずつ茶碗に割り入れ、腐っていないことを確認してからでないと調理用のボウルに入れられない。米は精米こそされているが混ざっている砂利を取るところから始まる。
地味な下準備をして料理しても食べるのは一瞬。何だかんだ言っても外食が楽。とはいえ、当時は食堂の営業時間は食事時間帯の2時間ほどに限られていて、それを逃すと食事にありつけなくなるのは痛かった。

という訳で、そこらの食堂で食べたり他所のお宅に招かれたりなど人様に作ってもらえるのはありがたいことだった。不味かったものもあったにはあったが、実は美味しいものも結構多かった。
観光客がまず口にすることの無い中国B級グルメ。

・友人知人宅でご馳走になる料理全般、特に水餃子。餃子は豚肉か羊肉だが、不味いのに当たったことがない。これはハズレが無かった。料理によく登場する香菜(パクチー)や芹菜(中国セロリ)は最初は苦手だったが、こういう機会にしょっちゅう食べるのですぐ慣れてしまった。

・大学の学生食堂、あんかけ麺。スープも無く具もほとんど無いのだが、これは本当にしみじみ美味かった。麺も中国としては比較的腰のあるうどんタイプ。あれはどうしても再現できない。

・中国全土の街角のシシカバブ(羊肉串)。クミンと唐辛子でスパイシー、大好物。ラオス国境に近い西双版納では羊じゃなくて牛肉でやっていたが、ちゃんとウイグルの兄ちゃんが焼いてたのでびびった。彼の故郷からどんだけ離れてるんだ。

・春先の早朝、北京動物園近くの屋台で売っていた蔬菜包(野菜餡の饅頭)。蒸して売っている訳でもなく外は寒いのに、分厚い布団に包まれた入れ物の中から出てきた包子は熱々だった。肉が入ってないのにものすごく美味しかった。今思うに、青菜の漬物も一緒に入っていたのだと思う。
この手の肉まんや野菜まんなどは、そこらの屋台でもなかなか美味しいのを出すことがあって油断できない。北京在住時は、昼時だけ店を出す贔屓の包子屋があってちょくちょく買っては昼食にしていた。近所の人たちもよく買いに来ていた。日本のと違って小さいので20個ぐらい買ってたかな。

・焼き芋。寒くなってくるとそこらじゅうに店が出る。ドラム缶1つで商売になるのだから、田舎から出てきた人には手っ取り早い商売だったのだろう。この焼き芋が日本の焼き芋と種類が全然違っていて、とても美味しかった。南方のはどうか知らないが、東北や北京で売ってたのは、ほくほくではなく身が水っぽく、焼いている途中で蜜が出るほど。身の色はオレンジに近い黄色。繊維がやや目立つが、とにかく甘くて美味しい。
ちなみに焼き栗(日本でいう天津甘栗だが、中国ではただの焼き栗。「天津」と来れば、北京では「狗不理包子」か「煎餅」が普通だった)もあったが、これは普通。

・四川省成都の包子、回鍋肉、桃。
包子は武候祠そばの小さな食堂。小ぶりの肉まんだったが、これが上海の名店に勝るとも劣らなかった。追加を頼むほど。炒め物なども佳品だったが、包子は出色だった。
回鍋肉は街中を歩いていて昼時になったので適当に入ったこれまた小さな食堂。出てきた回鍋肉は肉が皮付きの脂身ばかりで、日本のようにキャベツだのピーマンだのは入っていない。にんにくの芽が少量入っていて、日本のより全体に色が黒っぽい。全く期待せず口にしたが、これが意外や激しく美味かった。脂身自体が美味しく、赤身は食感のアクセントという感じ。味付けは辛いものの甘みとのバランスが取れていて絶品。ご飯が進むったらありゃしない(笑)この回鍋肉、帰国後もこれに準じたものしか作らなくなってしまった。だって日本のより美味しいんだもん。
桃は自由市場で量り売りで買ったもの。小ぶりだが甘みが強く、瑞々しかった。完熟を収穫してその日のうちに持ってきた、という感じ。中国で買った果物の中ではほぼトップ。次はカシュガルで買った杏かな。
この食堂や自由市場、数年前行った成都にはもう残っていなかった。というか町が変貌しすぎていて、もうどこにあったかも全く分からなくなっていた。

・カシュガルの食堂で食べたポロ(羊肉とにんじんのピラフ)。カシュガルで知り合った日本人で、カシュガルが好きで毎年来て数ヶ月滞在しているという人に教えてもらった店だった。肉を入れるか入れないかで値段は変わるが、ピラフ自体が美味しいので肉はどうでもいい感じ。臭みも無く、とても美味しかった。

・寧夏回族自治区銀川のホテルで飲んだ沙棘ジュース。「沙棘自体は美味しいものじゃないけど健康にいいから加工してジュースを作っているの、これは美味しいわよ」とホテルの支配人のお薦めで飲んでみたが、確かに美味しかった。当時の中国のジュースは妙に薄いとか妙に甘ったるいとか難点が多かったが、これは杏のような味で甘酸っぱさのバランスがとても良かった。チェックアウトの時にジュース代が加算されていないので支配人に訊いたら、あれはおごりよ、とにっこり笑った。

・甘粛省蘭州の街中の蘭州牛肉麺。宿泊していた蘭州飯店の服務員から美味しい店を教えてもらって行ったのだが、客が並ぶだけあって確かに美味しかった。スープの辛さ、中国としては珍しく比較的腰のある手打ちの細麺、どっちも絶妙。春節の時期で寒かったのでなおのこと美味さ倍増だった。
そういえば蘭州飯店で春節を迎えた夜、服務員がにこやかに「春節好!」とドミトリーの部屋にやってきて、記念にとキーホルダー、そしてりんごをくれたのだった。あれは何だかとても嬉しかった。たとえ廊下を鼠が走っていたとしても。

他にもきっといろいろあるんだけど今思いつくのはこれぐらい。
今となっては二度と口にできないものもある。食べ物もそれを食べた時の思い出と一緒で、一期一会なんだなあ。





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最終更新日  2012.10.25 21:13:45
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