だだもれ堂筆記

台風接近中らしいが、関東方面は暑さがぶり返して今日は昨日より更に暑く、室内気温が36度になった時にはさすがにエアコンを入れた。

昨日は冷や汁だったが今日も同じという訳にはいかない。正確にいえば私はいいが夫と息子がイヤだろう、ということだが。
暑いのでじゃがいもとオクラのサブジ、鶏肉のガーリックソテーにしてみた。サブジには青唐辛子と香菜たっぷり投入。この2点セットが入るとなんだか限りなくインドのカレーっぽくなるのが不思議。

乾季が終わって多少気温が下がったとはいえまだまだ暑いインドの安宿では、停電で天井のファンが止まるととたんに暑くてむっとした空気が部屋に満ちる。夜中はそれで何度も目が覚めて、所在無く開けっ放しの窓の外を眺めていたものだ。セーターを買わねばならないほどのラダックの朝夕の涼しさというか寒さが恋しかった。

ラダック滞在時にレーの街中のセーター屋で買った、鎧のようにがっつり目の詰まったセーターは手紬糸を使って手編みで作られていた。ラダックのおばさんたちがよく道端でおしゃべりに興じながら手だけはせっせと紡いでいたあの毛糸を使っていたのだろう。
ラダックセーターは四半世紀経った今もうちにある。夫のと私のと。

高山病から復活してレーの町外れの宿からあちこち出かけた時の底抜けの空の青さとか、乾いた山の色とか、ゴンパの薄暗さとか、安全装置を外して向けられた銃口とか、薄い空気のせいで遠くが近くに見える遠近感の妙な狂い方とか、葬列の楽器の音色とか、インチキ小坊主の光る目とか、砂曼荼羅の鮮やかさとか、牛とヤクの合いの子であるゾーが草を食む牧場の風景とか、ジュレジュレと恥ずかしそうに挨拶する子供たちとか、そんな風景の断片を思い出す。
ミンチュンとかアンモとかプンツォクとかダワアンモは元気かなあ。