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 昼下がりの迷宮~

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2007.11.09
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頑張っちゃった、のではありません。
楽しさについ、一気に読み終えました。

  ホテルジューシー

大家族の長女に生まれた柿生浩美=ヒロちゃんは、直情で有能な働きモノ。だがこの夏のバイト先、ホテルジューシーはいつもと相当勝手が違う。
昼夜二重人格の“オーナー代理”はじめあやしげな同僚達や、ワケありのお客さんたちに翻弄される日々。怒りつつもけなげに奮闘するヒロちゃんにさらなる災難が…。注目の覆面作家がおくる、ひと夏の青春&ミステリ。

【目次】ホテルジューシー/越境者/等価交換/嵐の中の旅人たち/トモダチ・プライス/≠(同じじゃない)/微風(「BOOK」データベースより)



主人公のヒロが夏休みにアルバイトする沖縄のホテルで出会う5つの物語。
一晩に一つずつ読んでしばらくの南国旅行気分を楽しむのが、この本の最上の読み方かもしれません。
けれど手は止まらずに先のページへ…「貸出期限」のことがなくとも、つい読み進めてしまう一冊でした。

昨年読んでいた『シンデレラ・ティース』では、大学生のサキが夏休みに知り合いの歯科医院でアルバイトをします。その冒頭、サキは親友のヒロと自分達にむいたアルバイト先を選ぼうと、情報誌をめくりながらおしゃべりをします。
その後のヒロの物語。いずれ上梓されると後書きにありましたが、やっと読むことができました。

ヒロは三世代が一緒に暮らす家で弟や妹の面倒を見、母の右腕になる毎日を送ってきました。
家事の手際は一人前(か、それ以上)。
まっすぐで誠実。身の丈以上に自分を取り繕う人は嫌いだし、いい加減な生き方の人はもっと嫌い。
サキが丁寧に作られた洋菓子のようなら、ヒロは堅焼きのお煎餅のようです。
ちょっと武骨、だけどいい味がするんですよね!

そんなサキ、当初は沖縄の独特のリズムに戸惑い放しです。
オーナー代理は昼夜逆転生活の上二重人格ぽいし、掃除係の双子のおばあも厨房係のおばさんも、よく言えばおおらかだけど、このアバウト加減って…?
さらに、気儘な老後の旅で酒を飲み過ぎ倒れる男性。派手な服装でナンパされることを繰り返し、毎夜部屋の外ではしゃぎ過ごすコギャルの二人連れ。台風の中、旅慣れたふうに出かけて行く若者。買い出しの途中に知り合った、手作り弁当の露店を出す女の子。常連という老夫婦は何だか妙な行動パターン。
とまどいながらも、まっすぐな彼女には、ただすれ違うだけなんてことができないのでした。


数年前のことですが、毎日聞いていたFMの番組で、聴取者が1分間、自分のお店や催しの宣伝をするというコーナーがありました。
1分間ですから、大概の人は早口気味に、扱っているものや雰囲気、オーナーの特徴、アクセス、期間限定のサービスや「この放送を聴いた、と言ってくださった方には特典を」なんて盛りだくさんで話します。

あるとき、沖縄は那覇のお店が紹介されることになりました。
受話器を通して話す女性、
「え~、こんにちは~、えーとぉ、…沖縄のぉ、○○です。
フフフ、…国際通りにあってぇ、…みんなで元気にぃ、
やってるお店なんでぇ、フフフ、来てくださぁい」
…と、こんな調子で1分間終了!
パーソナリティさん、やや焦り気味で、
「えっと、場所はどの辺ですか?」
すると店員さん 
「那覇のぉ、国際通りのぉ、…まんなか辺ですかねぇ。来たら、寄ってくださぁい」

パーソナリティさんもこのときは沖縄から中継だったのですが、
「沖縄の人って、こんな感じで、おおらかなんですよねぇ!」
とフォローしていましたが…冷や汗かいてただろうな…

このとき私は思いました。
「沖縄では、たぶん私、暮らせない…」
小学3年生の通知表に、担任直筆で
『他人に厳しく自分には甘い。』と評価を受けた女だからです(笑)


サキも、もともとは石垣島の民宿で同じ年頃の仲間たちに混ざってアルバイトをしていたのです。
それがひょんなところから、那覇の<ホテル・ジューシー>に派遣されることになったのです。
とまどい、かくや。

しかも。
ジューシーなんてホテルの名前にしては「なんかやらしくない?」とサキ。
たしかに!

でも「ジューシー」とは、沖縄の雑炊のことだそうです。
いろんなものが、一緒に煮込まれて、美味しくて身体の温まる一品になる。
このホテルにはぴったりの名前かもしれません。
そして「なし崩しでいい加減なわりにおいしいのがずるい」とサキが思う沖縄の料理、そんな沖縄にぴったりのホテルの名前なのかも。

不思議さん―を通り越した存在のオーナー代理が、この一冊では<スナフキン>役です。
読み進むうちに、最初の印象がかわってきます。
なぜ彼がこんな生活をおくるようになってしまったかも、ちょっと想像できます…


「イチャリバチョーデー」沖縄の言葉で、行き交えば兄弟。
袖振合うも他生の縁、みたいな意味だそうです。
訪ねてみるのも、いいかもな、と思えてきました。
住むのは無理かもしれないけど…






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最終更新日  2007.11.09 17:25:40
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