TBSの番組「チューボーですよ!」の、今夜のゲストは演歌歌手のジェロさんでした。
司会の堺正章さんと一緒に、コロッケを作りながらおしゃべりしたり、こぶしのきいた歌声を披露したり。
そのトークの中で日本語を褒められ、ジェロさんが言うには、
日本語はアメリカに住んでいたときに、日本人であるお祖母ちゃん、お母さんから教えてもらった言葉なので、
日本に実際に来て、古くて使い物にならなかったものも多い
とのこと。
たとえば?と聞かれた答えは
「おかちめんこ」
これには笑ってしまったわ。
使わないものねぇ、最近は。ポンなんて、聞いたこともなかったみたい…
それにしても、ジェロさんの日本語は、発音もしっかりしているし、片言ながらも丁寧に言葉を選んでいて、一言で言うと
折り目正しい
印象のするものでした。
そういえば、もう20年以上前の記憶になりますが、デビューして間もないバイオリニストの五島みどりさんにNHKの松平アナウンサーがインタビューしていました。
五嶋みどりさんはごく小さいころからアメリカで暮らし、英語の方がずっと流暢だったそうですが、インタビューを終えた松平アナは、
「教えてもらって覚えた日本語なので、非常に古風、と言いますか、
文法的にも発音も乱れがなく、正しく丁寧にお話をされるので、
こちらの背筋が思わず伸びるようなインタビューでした」
というようなことを言っておられたのです。
これが大変印象的でいまだに忘れられないのね。
そこで、この本。
日本人の知らない日本語
日本語学校の先生と外国人学生がくりひろげる笑える日本語バトル。
【目次】
第1章 外国人の素朴な疑問は超難問/第2章 そんな日本語使いません/第3章 間違いな敬語/第4章 トコロかわれば/第5章 知られざる仮名の過去/第6章 世界の漢字/第7章 そうだったんだ!日本語/第8章 日本のルール/第9章 日本語学校にて/第10章 日本いいクニ (「BOOK」データベースより)
日本に住む外国人に、日本語を教える学校の先生が、授業を通じて体験したことを、おもしろおかしくマンガにした本。
たとえば、
「(発言は)立って言ってください」
と先生に言われたある生徒のリアクションなんて、抱腹絶倒です(どんな行動なのかは、読んでのお楽しみ)。
大真面目なその生徒さんには申し訳ないけど…
カルチャーのギャップや、勘違い・間違いがもとで起きるエピソードの数々なのですが、生まれた時からずっと日本で暮らしている私たちも知らない――というより、知ろうとも思わなかったような言葉を、彼らが身につけようとしているのには感心するばかりです。
知らなくても日本で十分にやっていけるような言葉でも、覚えなければならない、知りたい、と、一生懸命な人々。
先生の苦労はここに書かれていることの何十倍もあるのだろうと察することができますが、それ以上に、こんな生徒さん達がきっと、可愛くて仕方ないことでしょう。
私たちが学校で勉強する英語も、古くて実際の英会話には使えないとか、発音がネイティブのものと違いすぎるとか、よく言われるけれど、それは違うかもしれませんね。
文法的に古くても、間違った意味にはならないはずだし、言いたいことは通じるでしょう。それをバカにする現地の人は、それなりの人だということです。
発音だって、中国人もインド人も、ヨーロッパの人たちも、それぞれお国訛りがある英語を使います。それが理由で通じなかったという話の方が少ないのではないでしょうか。
伝えたいことがあって、意志を持って語れば、教科書の英語で日常会話は成り立たせられると思うのですよね。
伝えたいことを日本語できちんと話せるか、ということの方が大事かもしれない。
きちんと話そう…
ジェロくんがしていたように、言葉を選んで…
などと思う夜でした (*^Д^*)