ストックルーム
仕事中の 涼との絡みがすっかり減ってしまったそれを涼は "俺は演技が出来ないから うっかりして愛澄好きオーラが出ないようにするため"・・・という 「ただでさえ オーラでそうでヤバいんだから」同僚には 遠距離の彼氏のグチを まいにちのように聞いてもらってるから2人の彼がいて・・・ましてやその相手が涼だなんて 口が裂けても言えないそれでいても 涼があたしに仕事を頼んでくるとなると やつのぎこちない態度がモロに出るどっちにしろ あたしの演技力が問われる問題なのだと痛感したここ最近気になったのが あたしがストックルームから出てくると必ず涼がこちらに向かっているということ でもストックには用事がない様子そのわけを 目の当たりにする日は そう遠くもなかったのだけれども・・・::普段 レディスコーナーを担当として 主にそちら側に立つあたしはメンズの接客をすることはほとんどないのだけどその日は メンズ担当がひとり休みな理由で 急遽メンズコーナーに立つハメに・・・涼の近くにいれることは嬉しい反面,仮面を被れない涼の素っ気無い態度に 多少落ち込んでもいたのだ慣れないフロアで 在庫もきちんと把握が出来てない自分に凹みっぱなし...ストックをかき回して探し出した在庫をようやく見つけて なんとか売り上げにつなげたものの再びあの蒸しかえったストックルームに片付けに行くのかと思うとそのまま閉店まで洋服に埋もれて眠っていたい気分になる重い扉を開けた その向こうには 先ほどこの部屋を出るときにひっくり返したシューズの陳列を積み直している涼の姿があった「わぁーごめんね!! 後はあたしがやるから・・・」涼の隣にしゃがみこんだあたしは 1秒でもはやく!この空間から立ち去りたい気分だった横で靴箱を鷲掴んでいた涼は 黙って扉を閉めて それに気づいたあたしを見るなりいたずらを今にも実行しようかという 小学生のような顔で笑う彼によって引き上げられたあたしの腕は そのまま小さな箱部屋の隅に追いやられそのまま くちびるごと 奪われてしまった『ばか!!』って口だけで涼に訴えても 顔は笑っていた折角 きれいに積み上がった靴箱が バラバラと崩れていくそのむこうで背中に壁 唇に涼の唇 と挟み撃ちにされたあたしは どんな抵抗が出来よう?それから 閉店までのわずか1時間の間 発注FAXの番号間違えを3度 繰り返した