米国で家を買う -不動産購入の手順 その1
今回は米国で不動産を購入する為の基本的な手順のご説明。A)予算設定”私は一体幾らの家が買えるのか?”勿論、一括現金購入の場合、上限はない。しかしほとんどの購入希望者はローンを組んで購入資金にあてる。よって現実的には"幾らの家が買えるか=月々幾ら払えるか?=一体幾ら借りれるか”と言うのが現実的。既に米国の場合、ローンの審査は4つの”C”と呼ばれる査定基準により借り入れ限度額が決まる。1)Capacity(返済能力)過去二年間の年収はいくらか?それらは納税記録を元に判断される。自営業の人の評価が辛いのもこの為である。実質年収は多くても、実際には会社員より不利な評価をされる事もある。2)Credit History(信用履歴)クレジット会社から発行されるCredit Reportのスコアで判断される。クレジットカード等の返済状況、残高などを元に換算。680点あれば通常のローンを組むのには問題ないとされる。日本にお住まいの方が米国で不動産を購入される場合はInternational Credit Reportを必要とされる場合がある。(日本にお住まいの方の米国での不動産購入に関しては追って特集予定)3)Capital(資金)頭金はどれだけ払えるか、エスクロー等の諸経費や手数料を払うだけの十分な資金はあるか、など。在米の場合、20%の頭金があればローンを組むに有利である、が0%のダウンペイメントでもそれ以外の条件があえばローンを組める。4)Collateral (担保保障)最後に”担保・保障”である。借り手が支払いを遂行できなくなった時、ローンの対象物件がその満額の価値があるかどうかが検討される。貸し手のリスクをを最小限にする為、借り入れ額が購入総額の80%を超える場合(頭金が20%以下の場合)、PMI(Private Mortgage Insurance),モーゲージ保険への加入が義務付けられる事が多い。保険料はローン総額の0.5%前後で設定される。以上を総合的に検討され、限度額が設定され銀行又はローンブローカーはPre-Approval Letterを発行する。これがあると売り手への信頼が高まり交渉が有利に運ぶ事も多く、是非事前に用意したい。借り入れ限度額(固定30年)の、大まかな目処としては現在の月収(世帯合計)の1/3、割る その金利。:(月収÷3)÷金利×1000=ローン総額(例:金利6.5%として、 ローン総額=月収の三分の一(ex:$2000)/6.5*1000=$307,693, 総額$384,615(20%の頭金)の家が購入可能)と、言う事になる。ただ固定金利ローンの他にも初期固定型(3,5,7年の金利固定)、変動型(国債などの金利に連動して変動)、又は金利だけ支払うインタレストオンリーのローンもあり、月々の支払いはこれらの順に安くなる。ただその分、変動によるリスクが高まるのは言うまでもない。これらの考え方は月収の30%をモーゲージの支払いに当てるという仮定のもとに計算されている。B)ロケーション選び予算が決まったら信頼できる不動産エージェントと実際に物件選びに入る。その際、もっとも重要なのはロケーション!ロケーションの決め手は大きく分けて以下の4つ。1)購入の目的、将来計画(中期、長期)2)環境、治安3)将来性目的住居目的か投資か。住居の目的の場合、そこに住む家族の便宜を一番の考慮するが投資の場合はその立地の資本価値が最も大きな要因となる。将来計画アメリカ人は平均5年で引っ越すといわれている。この家に何年住むつもりかでロケーションの選択は大きく変わる。又、投資目的の場合、大よそ何年後に売る計画などがあればそれも考慮に入れるべきである。教育環境エリアによって学区が変わる。のは日本も同じ、ただしこのロサンゼルスでは隣同士の高校でも随分レベルが違う事が。。治安環境ここ米国の場合、道一本離れると全く治安状況が変わってしまう、とはよくあること。物件の古さ、コンディションはリモデルする事は出来ても治安や教育環境は換えることは困難。治安と土地の価格は残念ながらこのロサンゼルスでははっきりと反映する。ところが近年、性犯罪者の情報が公開され高級住宅地にも性犯罪暦を持つ者が多く住み、子を持つ家族には新たな脅威となった。現在の不動産購入契約書では性犯罪者が付近に住んでいる事を理由に規定の日数内であれば購入をキャンセルできるようになった。これら犯罪者の記録はWEBで一般に公開されている。以上のことを考慮してロケーションが決定する。3)物件の形態、条件支出家を購入する事で以下の支出がほぼ毎月発生する。A)モーゲージ(住宅ローン)B)固定資産税(月割り,購入価格の約1%/ 12 )C)特別地域税(Mero Roos:新興住宅街に多く見られる地域税、%は様々)以上の他にコンドミニアム、およびゲートコミュニティーではD)HOA(HomeOwners Association fee) これは、いわば共同メンテナンス積立金のようなもの、そのビル又は敷地のオーナーが共同エリアのメンテナンス、サービス費を共同で出し合う。一般に良いメンテナンスの物件はHOAが高い。価格は地域、物件により様々。(目安として$200-600)形態、条件などベッドルームやバスルームの数から始まって広さ、庭、築年数、台所のつくり、一階建て二階建て、暖炉やプールの有無まで、不動産エージェントが扱うMLS(すべての市場に出ている物件の情報のデーターベース)には数十の項目により物件が検索できるようになっている。しかし、細かい希望は実際に何軒もの家を見て歩いて初めて具体的に気づく事がほとんど。そのため私のお客様には先ず数件の物件を見て歩いてから、より具体的な物件の希望を絞っていき、お客様の要望にかなった物件をじっくりと探していただく。以上のように1)ファイナンス2)ロケーション3)形態、条件を十分考慮してやっと自分にあった希望に合う物件を見つける事が出きる。一大プロジェクトである。次回は物件が見つかった後の購入の申し込みからクロージングまでを説明する。