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ちょっと触れようと思っただけだったんですが・・。せっかくだから写真を載せたら長くなって、ミコノス島は今回カット。次回につづきます。 謎のエーゲ海文明 キクラデス文明(Cycladic civilization) 新石器時代から青銅器時代初期(BC3000年~BC2000年頃)にエーゲ海のキクラデス諸島に栄えたとされる文明でクレタ島のミノア文明よりも古い文明です。 以前「サントリーニ島4(ロバと街)」の所でそのキクラデス文明に少し触れましたが、アトランティス大陸か? とも思われる高度な文化を持った文明だったようです。 この頃の人々の様子が、ある土器から推察できたそうです。シロス島のハランドリアニ遺跡からたくさん出土しているそのフライパンのような形をした土器は、背面に長くオールを30も持つ船の絵が描かれ、大型の船をあやつっての交易らしき文化のあった事がわかるそうです。ただ、その土器そのものの用途が未だ謎だとされています。 下が、形から「フライパン」と呼ばれる謎の土器。 アテネ国立考古学博物館所蔵 キクラデス諸島には大きな特徴があり、それぞれの島から産出される天然資源が不均一に異なるのだそうです。例えば、黒曜石(石器の材料)の産出はミロス島のみ。銀や銅等の鉱石の産出ははシフノス島とギリシャ本土のアッティカ東南のラヴリオン一帯のみ。 BC2000年頃まで栄えたキクラデス文化の遺跡にはすでに黒曜石の石器のみならず、青銅製の短剣や槍先、金や銀のブレスレットなどが出土しているので、島々相互の特産を交換しての海上交易が早くから行われていた事がわかるのだそうです。この交易は、キクラデス諸島内にとどまらず、トルコのアナトリアにまで広がるものだったようで、アイソトープ検査で出土品の履歴が今は特定できるのだそうです。 キクラデスの大理石彫刻 キクラデス文明の遺跡からの出土品に白亜の大理石を様々な形に加工した容器や、精巧な大理石製の石偶が出土しています。 大理石はエーゲ海地域に広く産出し、神殿建設や彫刻には欠かせない素材ですが、どこからでも産出されるものではなく、とりわけ光沢のある美しい上質の鉱脈を求めてキクラデス文明期から探し求められていたようです。(パロス島に採掘抗の跡が残るそうです。) 下は、ケロス島から出土した石偶「アウロスを吹く人」 アテネ国立考古学博物館所蔵。 対に「ハープを吹く人」がある。優美な一対として、ある音楽を奏でる石偶である。 これらキクラデスの石偶は後のギリシャ彫刻に見る精巧な大理石の彫刻とは異なりますが、現代のモダン・アートを思わせる水準の高い造形です。(決して稚拙ではないです。)キクラデスの彫刻作品を見たときに驚きました・・モディリアーニが頭に浮かんで・・。 下も、おそらくデロス島からの出土品? アテネ国立考古学博物館所蔵。 アメデオ・クレメンテ・モディリアーニ(1884年~1920年)がキラクデスの彫刻を知っていたとは思えませんが、彼の彫刻作品は確かに民族美術に影響を受けた模倣にも近い作品だったのは確かなのです・・。(彼の作品はアフリカ系が多いですが、デッサンはギリシャ彫刻も結構ありました。) やはり(モダンだと)そう思ったのは私だけではなかったようです。 20世紀半ばにコレクター達がその現代風な彫刻(ジャン・アルプやコンスタンティン・ブランクーシを想わせる)を奪い合うようになったことで再び注目された。(ウキペディア) 残念な事にその為に遺跡が掘り荒らされてキクラデス彫刻は散逸して文明の脈絡が解らなくなってしまったようです。(作品が少ないと思いました。偽物も盛んに取引されたと言います。) 文明は一線的に発展するものでは決してないそうです。ギリシャも初期青銅器時代から現代までに繁栄と衰退を繰り返し、時には自然現象で文明は絶え、時には侵略者により塗り替えられて来ています。 キクラデス文明とクレタのミノア文明は、場所柄が近いにもかかわらず似て非なる文明なのだそうです。何故キクラデス文明が衰退したのか? 何故クレタ島の力が増したのか? 是非とも、そのきっかけを知りたいものです。 これから博物館を廻る時は、キクラデス文明期の彫刻に注意してみなければ・・・。 とは言え、実はギリシャ彫刻ではアルカイック期の作品が結構好きです。精神的に受ける何かインスピレーションを感じるんですよね・・。 そう考えて見ると、ギリシャ彫刻は美しいだけでなく、奥が深ーいのかもしれないです。
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